2009年、現社屋での業務開始以来、病理検査を取り巻く環境の変化・進歩に対応すべく、検査室の拡張、設備・機器の拡充を図り、日々、進化を続け、40周年を迎えることとなりました。近年、新規分子標的治療薬の開発や適応拡大が進み、治療薬選択の為のコンパニオン診断薬の開発も進んでいます。コンパニオン診断検査には、標準化された手順に従い、精度保証された病理技術をもって作製された病理標本が必須であり、高度な知識・技術が求められる為、精度管理の徹底と病理検査の標準化に向け、取り組んでいきたいと考えております。また、個別化医療の実現のために アイル創立40周年を迎え、非常に感慨深く、これまでご指導頂きました諸先輩方、一緒に歩み続けて下さっている職員の皆様に感謝申し上げます。 この10年の間に病理学細胞診では、婦人科LBCの対応を開始しました。当初標本作製は外注でしたが自動標本作製装置を導入し、自施設での作製が可能となりました。また、内部からの細胞検査士(以下、CT)輩出・人材育成、ISO 15189取得に関連した標準作業書の策定等にも取り組んで参りました。現状での部門のミッションは、継続した人材育成、および、最近導入した婦人科LBCイメージングシステムを運用し、業務 株式会社アイル創立40周年を迎え記念誌寄稿にあたり、10年前の30周年記念誌を読み返しました。実現できたこと(質量分析装置による臨床貢献)、道半ばのこと(感染対策支援)、方向性が大きく変化したこと(遺伝子検査の普及)、実に瞬く間に過ぎた10年でした。さらにこの間で世の中は大きく変化しました。その経験をした今だからこそ考える、この先10年の目標に「人材確保・育成」を掲げたいと思います。 組織にとって、人は心をもった財産(人財)です。それは簡単には手に入らず、育てるには長い年月をかけての努力と忍耐が必要では、病理検体の採取から、ホルマリン固定、ブロック・標本作製、判定までと、多岐にわたる全ての工程が重要となります。臨床の理解・協力なくして、実現は難しい為、病理部門から臨床へ向けた情報の提供・提案が行えるよう、発信していきたいと考えております。病理検査室として、専門知識・技術の提供だけでなく、臨床医・病理医を結ぶ役割を担い、IMSグループ全施設の検査室の一部分として、臨床と共に歩んでいきたいと考えております。臨床への更なる貢献の為、より一層の精度向上に努め、新たな時代へ向けて邁進してまいります。の効率化・検査精度の向上を図ることです。 近年は細胞学会でも、AIによる細胞診断に関する演題が必ず見られ、10年後には婦人科以外の分野でも鏡検の自動化が進むと予想されます。これまでCTには、異型細胞を拾い上げる力が第一に求められてきましたが、今後は機械が拾い出す細胞を取捨選択する力(同定力)や新しい分類に呼応した判定能力も求められます。個々人のスキル、レベルをアップさせ、これら装置を使いこなす事が、課題であろうと考えます。自動化を味方につけ、10年後には時間外労働の削減、標準化された標本作製、より精度の高い細胞診判定の実現を目指して参ります。す。一方で人財は個々に多様な考え方や生活をもっていますから、どちらか一方の片想いではいずれ破綻します。私たち微生物学部門としては、有難いことに「微生物検査に携わりたい」という前向きな希望をもって入職してこられる人が多いです。その人財と末永いお付き合いができるような環境づくりを、皆で知恵を出し合いながら醸成していきたいと考えています。そして優秀な人財を確保し、育て、維持することでIMSグループに貢献できる微生物検査室を目指します。板橋中央臨床検査研究所板橋中央臨床検査研究所WAKABAYASHI YUMIKO板橋中央臨床検査研究所MATSUMOTO TERUMI 病理学(細胞診)ISHII SATOE 微生物学 病理学(組織)■■EIL 40th Anniversary 2023Memorial Magazine NEXTこの先10年の目標に「人材確保・育成」臨床と共に歩む病理を目指してアイル創立40周年に寄せて■■■■■■■■■■■■■■■■アイル部門長インタビュー〜先進医療ニーズに応える検査体制〜
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