アイル next
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■EIL 40th Anniversary 2023Memorial MagazineNEXT         遠藤私が担当する内視鏡         検査業務で、2~3年前に画像         診断AIを搭載した内視鏡の         デモンストレーションがあり         ました。しかし画期的という         ほどのことはなく、チェックアラームの音が煩わしいと不評。問診AIのデモも実施しましたが、医師・看護師とも実態にそぐわないと低評価でした。技術的に時期尚早だったのでしょう。今後私たち検査技師は、「人と接する」というAIができない分野を大事にすべきだと考えます。患者様の利益を第一に考える加藤 とても示唆に富む意見がでてきました。AIにしろ、ゲノム医療にしろ、患者様の役に立つものに育てなければなりません。橘さんが言うように、データを取捨選択し、精度を高めていく。ゲノム医療と保険行政に乖離があるなら、医師が積極的に提言していく。特にゲノムは究極の個人情報ですから、扱う上での倫理規範も医療現場がリーダーシップをとって定める必要がありますね。大橋 検体検査でいえば、AIのデータ蓄積が進むほど、ミスは減っていきます。さらに過去の検査データや他の検査結果と照合する能力を与えれば、総合評価や再検査の要不要などをAIが判断できるようになる。報告までの時間が短縮され、医師や患者・受診者様の利益になります。伊勢AIにキャリブレーション(校正)を任せられると助かりますね。検査機器、試薬キット、試薬の種類や状態の組み合わせで、測定値に影響がでますから、現在はその補正・確認に熟練の技師の技能が求められています。AI技術が更新されれば、そのつど私たちプロフェッショナルが検証し、正確性と有用性を担保する必要があります。人の利益を守る分野、人と直接接する分野は、機械任せにはできません。AIと臨床検査技師の共存・共栄は十分可能だと思いますよ。検査室を出て、患者様のベッドサイドに加藤たとえば、飛行機で緊急事態が起こり、客席に酸素マスクが下りてきたら、まず自分が装着してから周りの人の手助けをするように指示されます。自分自身を救わなければ、周りを救うことはできません。AIは人間よりはるかに体力と知識を備えています。医療従事者は、もっと自分を救うことも考えたほうが良い。自分がラクになれば、ベッドサイドの患者様のために時間を使えます。検体の運搬など、負担になることこそ、AIロボットにやってもらうべきですよ。山﨑 仕事の優先順位が変わってきますね。臨床検査技師として、どのようにモチベーションをもつかが大事になってきます。未来への抱負、将来像という観点で、話してもらえますか?伊勢 次世代のスタッフの教育に力を入れたいですね。AI機器の進化の方向性など、情報収集を怠らず、臨床検査技師同士の交流を密にして、切磋琢磨する。若手の発想の転換にも期待したい。大橋患者様とのコミュニケーションがキーワードです。希望する方には、検査結果を面談で説明する機会を持ちたい。書面だけではわかりにくいので、不安を招いてしまうことがあります。橘患者様と触れ合うことが得意な技師は案外多いと思います。特に超音波や心電図など、生理機能検査担当者。AIの進歩で、検査時間は短縮されますから、その分を説明にあてる。不安を受け止め、相談相手になる。AI任せでは現場が冷たくなるというか、愛し愛されるIMSになりません(笑)。遠藤他にも内視鏡介助のように、医療スタッフとのコミュニケーションが重視される部門があります。検査を通して、患者様と医師、医療スタッフをつなぐ、橋渡しを心掛けたいですね。大橋 研究家肌で、病理部門に強い技師は、機器の開発、改善に活路を見出せると思います。伊勢医師の働き方改革を目的としたタスクシフトが進んでいます。技師が医療現場へ積極的に入っ■■■■臨床検査技師として、医療従事者として、どんな社会貢献ができるのか?ともにIMSグループの未来マップを創っていきましょう。

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