鍋”の季節が到来。今夜はこっくり濃厚な鴨鍋はいかがですか? 薬膳では「補ほき気」=エネルギーチャージにオススメの食材です。デザートには「飲む点滴」甘酒を使ったシャーベット。冬に備え元気を蓄えてください。
弾力があり、噛むほどに野趣あふれる鴨肉。合わせる野菜はやっぱり王道の「ネギ・セリ・ゴボウ」。香りも歯ごたえも満点です。鍋つゆには市販の麺つゆを活用したので失敗知らず。シメは焼きおにぎりの雑炊をどうぞ。
鴨肉
脂がのって味が良くなる冬場(11月〜3月)が旬。市販されているのは鴨を家かきん禽化したアヒルや、真鴨とアヒルを交配した合鴨が多い。脂肪には動物性の飽和脂肪酸だけでなく、中性脂肪を減らすとされるαリノレン酸など不飽和脂肪酸も多く含まれ、バランスがよい。糖のエネルギー代謝を助け、疲労回復に働くビタミンB1や、脂肪の代謝を助けるビタミンB2、タンパク合成に関与するビタミンB12も豊富。長ネギの辛味成分・アリシンはビタミンB1の吸収を助けるので「鴨×ネギ」の食文化は理に適っている。
鴨肉は5㎜ほどの厚さにスライスする
⑤を焼き網で焼く。表面が焼けたところで調味料を塗り、軽く焦げ目をつける
シメには、⑥の焼きおにぎりを器に入れ鍋の汁と具材を加えて雑炊風に。好みで白ゴマをふる
東戸塚記念病院
栄養科 管理栄養士
菊池 萌華
学生の時からずっとバレーボールに打ち込んできて、食事でパフォーマンスを上げるスポーツ栄養学に興味を持ちました。当院は急性期病院ですから、さまざまな疾患の方への栄養指導を受け持たなければなりません。現在胃がん手術前後の栄養管理などを猛勉強中です。今回はお肉の中でもビタミン・ミネラル豊富な旬の鴨肉に着目。鴨鍋に香りの高いセリを入れるのは江戸時代からの食文化だそうです。
リンゴの紅い皮を散らした食感を楽しむシャーベット。米麹の甘酒には消化・吸収や細胞の代謝を助ける酵素が含まれ、オリゴ糖やビタミンB群も豊富。リンゴのポリフェノールとの合わせワザで滋養強壮に◎。
リンゴは半分を皮付きのまま7~8㎜のさいの目切りに。残り半分は皮をむき、火が通りやすいよう薄切りにする
スライスしたリンゴも、別の鍋で水と砂糖を加え、同様に加熱する
②と④を合わせ、型に流し込み、冷凍庫で5~6時間冷やし固める
東戸塚記念病院
栄養科 管理栄養士 田場 穂乃香
学生の時に祖母が倒れ胃ろうを余儀なくされ、一緒にご飯を食べられなくなったことが大ショック。病気の人の食生活を支える病院の栄養士を志しました。外来の栄養指導のほか、脳神経外科病棟を担当しているので、食べる力を取り戻す嚥下トレーニングのサポートには熱が入ります。シャーベットは食欲のない時でも食べやすいデザート。飲む点滴といわれるほど栄養豊富な甘酒と豆乳でヘルシーですよ。