令和5年度後半は、各病棟主治医2名による入院診療体制となり、診療体制に余裕がなくなっっていたが、令和6年4月より、2名の常勤医師の増員があり、やや余裕をもって診療に従事できるようになった。しかしながら、10月には1名の異動、および令和7年4月に1名の退職(有給消化により実質3月上旬から不在)があり、余裕がない状態に戻っている。 また、病棟専従医体制がなくなり、外来担当医師のしばりもなくなったので、各医師が外来での診療も可能になった。病棟専従医の委員会のしばり(感染委員会・医療安全委員会は病棟専従医は不可)もなくなったが、こちらについては変更なく同医師が継続となった。今までは、専従医・非専従医の受け持ち患者数に差をつけていたが、ほぼ同等人数に調整し診療にあたっている。 外来でのボツリヌス療法も開始し、徐々に軌道に乗り始めている。 摂食機能療法では、嚥下造影、嚥下内視鏡を実施している。こちらもリハビリテーション科医師の増員により、実施数が増加している。 外来では、復職支援、自動車運転評価、高次脳機能障害などの専門外来や通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションも開設しており、退院後も早期社会復帰に向けたシームレスなリハビリテーションを提供している。■ 研修医教育 板橋中央総合病院研修医プログラムの地域医療研修の一環として、当院はリハビリテーション部門の研修を担っている。毎年10名前後の研修医を受け入れ始めてから10年以上が経ち、令和6年度は4名を受け入れた。 研修期間は2週間と短いため患者を受け持つのではなく、見学、体験、講義などを通じて「自分が目指す今後の医療にリハビリテーションを活かせるように考え、学ぶ事」を目的とし、当院のリハビリテーションマインド① 医療者の守備範囲を守るのではなく、患者本位のチーム医療の 中で共通の目標に向かってリハビリテーションの専門性を発揮する。② 患者の自己決定権を尊重、もしくは患者や家族と情報の共有や 共同決定を通して協力・信頼関係を築いていく。を学んでもらう。 研修内容は、脳血管疾患等リハビリテーション、運動器リハビリテーション、内部障害リハビリテーション(心臓リハビリテーションや廃用リハビリテーション)、義肢装具、摂食・嚥下リハビリテーション、高次脳機能障害のリハビリテーション、退院支援等における医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカーによる役割や効果など多岐にわたる。また、地域リハビリテーションとしての訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションも加え、一通り回復期リハビリテーション病院の役割や機能について短期間に学べるように配慮したカリキュラムとしている。 常勤医師と上級技士5名、医療ソーシャルワーカー1名等を中心に指導を行い、研修医自身に指導内容の点数評価、研修期間を通して学んだ事や感じた事、改善点や気づいた事等を総括レポートとして提出してもらい、研修担当者の自己研鑽として活用している。■ 研究 Ⅷ 業績集に記す。■ 実績評価と今後の課題1. 入院診療 FIM実績、在宅復帰率、重症率、3食経口摂取移行率、拘束率、転倒率、褥瘡発生率の改善に取り組み、各病棟で目標値を設定し多職種とも連携をとっている(病棟連携会議)。身体拘束については、今後減算の対象となってしまうので、対策が課題となる。身体拘束最小化チームを立ち上げ、医師も参加して改善していく予定である。 緊急転院率をもう少し下げていきたいが、昨今の急性期病院の事情もあり、入院当初より病状が不安定であったり、急性期病院にて精査を行わずに入院となるケースや担癌患者数が増加傾向にあり、急性期病院との連携が課題となる。2.カルテ記載率、退院時・外来患者満足度アンケート カルテ記載率は改善傾向にあるが、今後の課題としては記載内容についても向上していくのが望ましい。医師部門における退院時患者満足度のさらなる満足度向上を目指していきたい。3.非常勤医師の他科診療 合併症を持つ患者が多いため、他科依頼の需要に貢献できる体制を整えている。中でも、整形外科の診療1 回あたりの受診件数が多いため、整形外科の常勤医確保が課題である。20IMS Itabashi Rehabilitation Hospital教育・研究今後の課題と展望
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