令和7年度病院長令和7年4月付着任生きてきた中で大事にしてきたこと、生きがい。『生きること』は、健康寿命、元気に生きること、限られた残りの人生を充実して生きること、など様々な意味を含む。患者を医学的にみると同時に、「これまでの人生、そして入院中の現在、今後の生活、そしてこれから生きていくこと」といった時間軸、そして家族や友人、生活の環境や職場など取り巻く空間・関係性の軸、その方のもっている能力や人間性など個人性。リハビリテーション医療の展開において、患者をこのように3次元的にとらえることが重要と考えている。当院で働いてみて、患者の3つの『LIFE』をみることが自然と基盤にあることに感銘をうけた。 渋谷前院長は、16年間にわたり病院長を務められ、板リハの雰囲気と地盤をつくってきた。その渋谷前院長が令和6年度をもって院長を退任されることとなった。このことは、板リハにとってこれまでにない非常に大きな変化であり喪失である。 時を同じくして診療報酬の大きな改定があり、また新地域医療構想では「回復期」自体の名称変更も想定されている。 このような中渋谷前院長の後を継ぎ、板リハの院長を務めさせていただくこととなった。 明確であるのは、どのような状況にあってもリハビリテーション医療が患者や社会にとって不可欠なものであるということ。そして当院の「3つの『LIFE』」をみるリハビリテーション医療を大事にし続ける、ということだ。愛し愛されるリハビリテーション専門病院、板リハをまた新たに、職員一人一人と一緒に作っていきたいと考えている。 不足が多い新院長であり、皆様のお力添え、ご指導、ご鞭撻を心よりお願い申し上げたい。 当院、イムス板橋リハビリテーション病院は令和7年6月1日をもって創立16周年を迎えた。開設当初は心臓リハビリテーション主体であり、その後2代目渋谷正直前院長に代わってから脳血管・運動器疾患の症例など広く受け入れるようになったと伺っている。今では、脳血管疾患、運動器疾患、廃用症候群、そして心臓血管疾患、いずれも広く手掛けるリハビリテーション専門病院である。 リハビリテーション医療は、「活動」の医学・医療だ。疾患や外傷の治療は終了したが、活動できず生活に困る患者は多い。このような患者に対し、①障がいを治療し改善を図る、②障がいが残存しても残った機能・能力を伸ばし活かしてできることを増やす、③環境を工夫して生活しやすく活動できるよう調整する、④復職など社会復帰を支援する、これらをチームで行っていくのがリハビリテーション医療である。何となく訓練をしていても患者はよくならない。障がいを治療するためには、疾患や病態の医学的な判断と評価、予後予測、それに基づいたリハビリテーション治療が不可欠である。 当院では、ただ歩けるように、家に退院できるように、というだけでなく、歩けるようになったら、家に帰ったら何をしたいか、を目標にゴールを設定しリハビリテーション医療を展開している。例えば、歩けるようになって家の庭木の手入れをしたい、バスに乗って図書館に行きたい、仕事に復帰したい、など患者の希望はそれぞれだ。入院時に患者自身と家族の希望を必ず確認している。これをもとに目標設定しリハビリテーション治療計画を立て、各専門職種が力を発揮し職種同士で協力してチームとして取り組んでいる。 私はリハビリテーション医療を「3つの『LIFE』を診る医療」と考えている。『生活』『人生』『生きること』、この3つの『LIFE』。『生活』は日常生活や仕事などの活動。『人生』は患者自身がこれまで 令和7年7月1日2IMS Itabashi Rehabilitation Hospital病院長ご挨拶大野 綾Ohno Ryo
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