annual_report_2024
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副院長 私と板リハの出会いは2009年の内覧会に遡ります。ガラス張りの明るいリハビリテーション室、3階から出られる屋上庭園、そして厨房で焼きたてのパンを提供するなど、それは素敵な病院でした。初代の上田惠介院長にお願いして第3土曜日に心臓血管外科外来を開けてもらいました。上田先生から渋谷先生の代になってもそのまま外来は続けさせて頂いたので、開院以来、月に1回ではありましたが、板リハの変遷、発展をずっと見守ってきたことになります。当時、(自称)新進気鋭の心臓外科医として40歳から板橋中央総合病院で手術に明け暮れていましたが、「将来メスを置くことになったら、板リハで働きたいな」とずっと考えていました。この思いはついに叶うことになり、2021年11月から板リハに異動することになりました。 心臓手術は手術前に診断を確定し、最適な方法を考え、手順通りにひとつひとつ再現することで完成します。もちろん不測の事態が起きることは多々ありますが、軌道修正を適宜行うことにより、想定した手技が滞りなく行われれば成功となります。回復期のリハビリテーションは、5~6時間の心臓手術に対し、3ヶ月前後と時間軸こそ異なりますが、やっていること自体は大きく変わりません。多職種が有機的に関わり合い、その都度軌道修正を行いつつ、入院時に想定した退院時の未来予想図を実現する過程は心臓手術と同様です。板リハに赴任すると、約20年ぶりに直接、患者さんの主治医となりました。三井記念病院でのレジデント、自治医大附属さいたま医療センターでの修行期間、毎日のように病院に泊まり込んで患者さんを診ていた頃の気持ちが蘇り、新鮮な気分になりました。 折しも、赴任当時はコロナ禍が収束しておらず、感染対策が非常に重要な時期でした。発熱患者の培養検査、血液培養2セット提出、敗血症バンドルの導入、院内アンチバイオグラムの活用などを推進した結果、培養検体数は倍増し、耐性菌(特にLVFX耐性大腸菌)の著明な減少が見られるようになりました。 当院は開院早期から遠藤診療部長のご尽力で心臓リハビリテーションの世界では既に知名度が高い病院でした。山本技士長とは板中時代から親交があり、ある程度は予想していましたが、いざ赴任してみるとPT、OTの心リハ担当スタッフの実力が高くて驚きました。心不全パンデミックの時代が到来し、基礎疾患に心不全を持つ患者さんは相当数おられます。安全なリハビリテーションを行う上で適切な心不全管理を行うことは必須となってきました。この点ではどこの回復期リハビリテーション病院にも負けないようにしたいと思います。 2025年4月から大野新院長のリーダーシップのもと「シン・板リハ」が邁進し始めます。渋谷先生の築かれた「ワン・板リハ」のマインドを更に発展させていきたいものです。 新しい計画の成就はただ不屈不撓の一心にあり。さらばひたむきにただ想え、気高く、強く、一筋に。(中村天風) 令和7年3月31日IMS Itabashi Rehabilitation Hospital3副院長ご挨拶村田 聖一郎Murata Seiichiro

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