3つの『LIFE』のための摂食嚥下リハビリテーション身体障害者福祉法指定医(肢体不自由、音声・言語又はそしゃく機能障害)日本リハビリテーション医学会 指導医・専門医 皆さんにとって、「口から食べること」はどのような意味があるでしょうか? 口から食べること、すなわち「摂食嚥下」によって、私たちは生きていく上で不可欠な栄養や水分を摂取しています。咀嚼するときの歯ごたえ、舌で味わう味覚、そして飲み込む際ののど越し。おいしいものを食べること、家族や親しい友人たちと一緒に食事をすること。人生においても大きな楽しみの一つと思います。生きていくためにも、人生においても大事な「口からたべること」。これを支えるのが摂食嚥下リハビリテーションです。です。摂食嚥下障がいは、脳梗塞や脳出血などの脳卒中、パーキンソン病などの神経疾患、舌や咽頭、喉頭の腫瘍など様々な原因で起こります。摂食嚥下障がいによって問題となるのが、栄養状態の悪化や誤嚥性肺炎です。栄養障害や肺炎によって舌や咽頭の筋肉が減少し、さらに嚥下障害が悪化するという悪循環をきたします。食べたいものを思うように食べられない状況が続くと、気分が抑うつ的になり食欲低下にもつながります。「摂食嚥下リハビリテーション」は、「摂食嚥下障がい」に対する治療です。摂食嚥下機能の検査には、主にレントゲンで食べ物の通りを観察する「嚥下造影検査」、実際の食事を食べる様子を内視鏡で評価する「嚥下内視鏡検査」があります。摂食嚥下障がいの状態や原因を判断し治療につなげます。また、どのような工夫をしたら誤嚥を来さず嚥下できるかを見つけだし、実際の食べる練習に活かします。医師、言語聴覚士が中心となって、看護師、栄養士、歯科衛生士、薬剤師、理学療法士・作業療法士、放射線技師などがチームとなって取り組みます。患者さんご自身やご家族も重要なチームの一員です。 イムス板橋リハビリテーション病院では、この摂食嚥下リハビリテーションに積極的に取り組んでおります。日本大学摂食嚥下専門の歯科医師が定期的に来院、当院リハビリテーション科専門医も加わり診療を行っています。各専門職種が力を合わせて患者さんの「口から食べる」ことを支えています。患者さんの「日々の生活や活動」・「これまでの人生」・「これから生きていくこと」です。生きていくためにも人生においても大事な、「口から食べる」ことを再び取り戻すための摂食嚥下リハビリテーション。患者さん自身の3つの『LIFE』を大切に取り組みたいと考えています。「口から食べること」について、ぜひ患者さんやご家族の想いもおきかせください。様々な疾患やその治療によって、しばしば「口から食べること」が困難となる、これが「摂食嚥下障がい」当院は、「患者さんの3つの『LIFE』を大事にする」をモットーにしております。3つのLIFEとはすなわち、「口から食べる」こと摂食嚥下障がいについて摂食嚥下リハビリテーション当院における摂食嚥下リハビリテーション院長 大野 綾(Ryo Ono)
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