自分で料理をしたい人に頼らず安らぎの時間が欲しい料理が得意なAさんは脳梗塞で右片麻痺となりました。入院中のリハビリでADLが自立し自宅退院となりました。料理は日課であり趣味でしたが、退院後は主に同居する妹さんが料理を行い、Aさんは味付けを担当するのみでした。訪問リハビリでは「自分で料理をしたい」との希望に沿い、片手で作ることができる料理の練習を始めました。釘付きまな板などの自助具を活用しながら具材を切り、道具の配置を変えることで大きな鍋やフライパンも使用できるようになりました。料理の達成感は自信に繋がり、次は床掃除や洗濯など他の家事にも挑戦する機会が増えました。進行性の病気で入退院を繰り返しているBさん。入院中は手を離して立つことが無理で、病室内は歩行器が必要でした。退院後も歩行器での移動に不安がありましたので訪問リハビリでは自宅内での歩行練習を反復し、自立達成となりました。後日Bさんは「以前のようにベランダで園芸がしたい」、「なるべく主人には負担をかけたくない」と希望を挙げ、ベランダでの段差昇降練習や園芸を安全に行うための環境調整(ベランダへの椅子や踏み台の準備・プランター置き場の調整・ベランダ以外の作業場提案)を行いました。今では一人で園芸が楽しめるようになり「園芸をしている時が一番気持ちが安らぎます」と話しています。さらに「友人と外出をしたい」と意欲の向上や生活範囲の拡大にも繋がり始めています。当事業所は「その人らしく生きるための利用者様中心の効果的な訪問リハビリの展開」を基本理念に掲げています。初回訪問時には、身体状況や自宅の環境評価のみならず、今までの生活スタイルや趣味・考え方などを聴取し、ADOCというiPadアプリを使用して一人一人に合った目標を利用者様と一緒に設定するように心掛けています。利用者様は受身的なリハビリではなく、目標に向かって主体的に動くことようになり、リハビリに頼らない自分らしい生活を早期に取り戻すことができます。仕事に復帰したい同窓会に参加したい銭湯でお風呂に入りたい家族のために料理をしたい介護保険部門訪問リハビリテーション
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