食道がん、胃がん、大腸がんなどの内視鏡診断や治療を盛んに行っており、年間7500件以上実施しております。最近では早期のがんであれば内視鏡的粘膜下層剥離術により、かなり大きくても腸管壁に深く入り込んでいなければ内視鏡治療で切除できるようになってきました。出血性潰瘍や憩室出血に対する止血術ならびに消化管狭窄に対するバルーン拡張やステント留置術も行っています。また、肝疾患を多数扱っているため必然的に肝硬変に合併する食道・胃静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法(EIS)や内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)も多数行っております。炎症性腸疾患に対しては血液浄化センターと協力し血球除去療法(G-CAP,L-CAP)も行っています。 肝炎・肝硬変、肝がんなどの肝臓疾患に対する治療をおこなっています。肝炎ウィルスに対しては肝炎診療ガイドラインに基づいた抗ウィルス剤治療をおこなっています。また劇症肝炎に対する血漿交換や血液濾過透析の集学的治療にも対応可能です。肝臓がんが発生した場合には動脈塞栓術やラジオ波凝固術(RFA)なども多数行っております。 もちろん手術適応があれば積極的に肝切除術も行っています。日本肝臓学会による肝がん治療ガイドラインを標準として患者さんの希望に応じた治療を提供します。また、胆嚢結石や胆管結石に対する内視鏡治療(EST,ERBD, ERGBD)や胆管悪性腫瘍に対してのステント術なども多数手掛けております。膵疾患に関してはERCPなどの造影検査や細胞診はもちろんですが、膵嚢胞に対する経胃的ドレナージや膵腫瘍に対する生検など超音波内視鏡検査(EUS,EUS-FNA,interventional EUS)も積極的に行っております。また膵炎に対しての動注カテーテルを用いた治療も行っております。 がん薬物療法専門医を中心として消化器がんに対する化学療法(抗がん剤治療)を行っています。最新のエビデンスに基づきながら患者さんそれぞれにあった治療法を選択しています。術前化学療法から術後補助療法、非切除進行がんに対する化学療法、免疫チェックポイント阻害薬による治療など、各種がんの標準治療に対応可能です。また化学療法剤投与のための中心静脈リザーバーの造設も積極的に行っています。化学療法はアメニティーを考慮し、リクライニングベッドを備えた化学療法室、もしくは短期間の入院で実施しています。 消化器外科専門医を中心に、手術件数も年間800件以上にまで急速に増加して参りました。 消化管外科領域では、胃がん・大腸がん・肝がん・胆道がん・膵がんなどの消化器がん、虫垂炎・胆嚢炎・腸閉塞・胃腸穿孔・腹膜炎などの腹部救急疾患/炎症性疾患、その他ヘルニア・胆石・痔などまで幅広くカバーしています。 定型的な胃がん・大腸がん・胆石・ヘルニアなどの定時手術や虫垂炎・胆嚢炎などの急性腹症の緊急手術においても腹腔鏡手術による低侵襲治療を積極的に採用しています。特に胆石では、単孔式手術といって、へその中の一つだけの創での手術も可能です。内視鏡外科技術認定医を含め、内視鏡外科に熟練した外科医をそろえ、患者さんにとって負担の少ない外科治療を実施しています。 当院は平成24年度の新棟竣工から、8年を迎えました。病院機能評価も受審し、無事認定通知が届きました。より一層の研鑽を重ね良質な医療の提供に努めてまいります。その一環として平成27年2月1日より消化器病センターを開設いたしました。当センターでは消化器病専門医、肝臓専門医、内視鏡専門医、がん薬物療法専門医、消化器外科専門医、肝胆膵外科高度技能医、内視鏡外科学会技術認定医を取りそろえ、エキスパート集団による内科・外科の枠組みを取り払った質の高い医療を提供いたします。これまでは医療界の構造的な問題で、患者さんが、何科にかかればよいかわかりにくいことがあったり、診療科間の垣根により治療法選択の自由度が妨げられていた経緯がありました。消化器や肝臓の病気であれば、もっと平たく表現するとおなかの具合が悪ければ消化器病センターにかかっていただければ自動的にベストな選択で診断・治療が進んでいきます。さらにセンター化のもう一つの目的としてスタッフ教育の密度を高め、より専門性を追求しすべてのスタッフが専門集団になることを掲げております。新松戸中央総合病院では、すべての職種が対等な関係でそれぞれのプロ意識をいかんなく発揮できるような病院でありたいと考えております。すべてのスタッフが専門的で高度な医療を提供できるよう一致団結してまいります。 消化器病センターをよろしくお願い申し上げます。 消化管部門 肝胆膵部門 化学療法部門 外科部門 6 SHINMATSUDO CHUO GENERAL HOSPITAL ANNUAL REPORT 2020 消化器病センター
元のページ ../index.html#8