【新松戸】病院年報2023
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SHINMATSUDO CHUO GENERAL HOSPITAL ANNUAL REPORT 2023 16 急性胆管炎・総胆管結石・悪性腫瘍(胆管がん・膵がん・乳頭部がん)を中心に治療しています。胆汁や膵液の流出障害によって黄疸・発熱・腹痛を発症しますので、内視鏡を使用して胆汁や膵液の流れを手助けします。総胆管結石に対してEST・EPLBD・EML・結石除去術を行い、胆管悪性腫瘍に対して金属ステント(SEMS)留置術を行います。 膵臓は胃の背側に位置し、超音波内視鏡を使うことで詳細に観察できます。超音波内視鏡下針生検(EUS-FNA)・超音波内視鏡下ドレナージ(EUS-CDS・EUS-HGS)も積極的に行っています。 4Kの高精細ビデオシステムを導入し、解像度の高い画像を用いて手術を行っています。胆のう摘出や鼠経ヘルニアなどの一般的手術から、食道、胃、肝臓、膵臓、脾臓、結腸、直腸などの広い範囲でこの手術を行うことが可能です。また、単孔式手術といって臍のなかに隠れるような一つの傷から手術を行い、術後は臍の形成手術によって手術跡をほとんど残さない手術も可能です。傷の小さな手術は患者さんの疼痛軽減だけでなく早期の社会復帰を実現できる優れた手術です。当科では年間 例程の腹腔鏡手術を実施しています。松尾院長指導の下、非常に合格率の低い(20%台)資格である内視鏡外科学会技術認定医も当科からたくさん輩出しており技術習得のためたくさんの医師が研修に来ています。 2020年より手術支援ロボット「ダビンチ」を導入いたしました。このロボットでは、3Dモニターから映し出される高精細な画像と精度の高い動きをするアームにより、精度の高い手術が可能です。がんの手術においてはがんを取り残すことなく切除することが肝要である一方、術後の機能温存のために必要な神経は損傷させない工夫が必要です。この相反する命題を高度にクリアーすることができるのがロボットの最大の利点であるといえます。当院では直腸がんをはじめ肝臓がん、すい臓がんにこのダビンチを活用しております。これまでの腹腔鏡を上回る精緻な手術を多数行っています。また、2022年からは全国17施設による鼠径部ヘルニア患者に対するロボット支援下鼠径ヘルニア手術の臨床研究にも参加しております。研究期間は終了し、現在結果を解析中です。2024年には我々の成果でロボット支援下鼠経ヘルニア手術が保険収載されることが予想されています。今後、ロボット手術は様々な領域に応用され、将来を担う若きロボット手術外科医の育成にも力を入れています。 肝胆膵外科手術は消化器外科手術の中で特に難易度が高いと言われています。この難しい手術を安全にかつ確実に行うために、日本肝胆膵外科学会では高度技能医制度を設けています。 当院は日本肝胆膵外科学会から高度技能専門医修練施設(B)に認定されています。修練施設は大学病院、がんセンター、公立・公的病院などの大病院がほとんどであり、当院の規模の民間病院が認められることは非常に稀です。 当院では高度技能指導医が常勤しており、肝がん・胆道(胆のう・胆管)がん・膵がんなどの難しい手術も、高い技術力と豊富な経験により、安全性と根治性を確保しておりますので、安心して受けていただけます。また、肝膵同時切除や血管合併切除再建などの超高難度手術にも積極的に取り組んでいます。他施設で切除不能とされても、当院では切除可能なことがありますので、諦めずにご相談ください。 成人の3人に1人は痔で悩んでいると言われています。肛門から出血したり、排便後に痛みがあったり、便がスッキリ出なかったりしたことはないでしょうか?悩んでいる人が多いわりに病院を受診せずに済ませている人が多いのも肛門疾患の特徴です。 痔と言っても痔核、裂肛、痔瘻の3種類があり、治療法は様々です。食生活や排便習慣を変える、適切な薬剤を使うことで良くなるものや、手術をしたほうが良いものもあります。また、痔だと思っていたら直腸脱や直腸癌など早く治療が必要な病気であることもあります。 いずれにしても本人が自分で解決することは難しいことが多く、時間が経てばこじれて悪化させてしまうこともよくあります。肛門出血や肛門痛、排便の異常がある時は我慢したり放置したりせずに早めに受診しましょう。 そけいヘルニア手術では従来の前方切開法と腹腔鏡を用いた手術を行っています。いずれも最新のメッシュを用いた修復術です。既往手術などで腹腔内にひどい癒着があるわずかな症例を除きほとんどが腹腔鏡による手術を行っています。最近では手術支援ロボット「ダビンチ」を活用し、3D画像による精度の高い手術を行い、国内の臨床研究にも参加しています。鼠径部には神経・血管・精管など細かい脈管が多数走行しており、損傷により術後の機能障害や慢性疼痛につながることがあります。腹腔鏡や手術支援ロボットなどの高精度の画像を用いて体に優しい手術を行っています。 胆道内視鏡治療 腹腔鏡治療 ロボット手術 肝胆膵高難度手術 肛門疾患治療 そけいヘルニア

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