第16回 IMS医師フォーラム 抄録
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16 A-1-3 病院名 演題名:SLEの初発症状としてループス腸炎を発症し、診断に苦慮した一例 演題区分: ④消化器系疾患 内容 【背景】ループス腸炎は全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)の0.2~9.7%に合 併する比較的稀な臓器障害で、免疫抑制療法による治療介入が必要な病態である。今回、ループス腸炎を初 発症状として発症し、診断に苦慮したSLEの一例を経験したので報告する。 【症例】30歳台女性。1年程前より倦怠感、脱毛、体重減少を自覚。20XX年4月、6月に他院で施行された、上部下部内視鏡検査では異常を認めなかった。同年9月末より下痢、嘔吐が続き、10月に当院消化器科を紹介受診。採血では著しい低アルブミン血症、貧血、ごく軽度の炎症反応を、腹部CTでは盲腸からS状結腸、小腸の著明な腸管浮腫を認め、精査加療目的で入院となった。絶食、補液で保存的治療を開始するも、臨床的に改善を得られなかった。経過中、腋窩リンパ節腫脹を認め、リンパ節生検を施行、何らかの炎症による2次性変化と考えられた。その後、採血上、白血球減少が出現、補体低下、抗dsDNA抗体陽性、抗核抗体160倍が明らかとなった。胸部CTで少量の胸水、心エコー検査で心嚢液も認め、ヨーロッパリウマチ学会(EULAR)2019のSLE診断基準より確定診断に至った。ヒドロキシクロロキンは網膜症のリスクのため使用できず、最終的にプレドニゾロンに加えて、エンドキサン、ミコフェノール酸モフェチルを併用、臨床症状、画像所見とも改善、第77病日自宅退院となった。現在も定期通院されている。 【考察】ループス腸炎の病態は腸間膜の血管炎であるが、一般的な感染性腸炎と同様に、嘔気・嘔吐 ・腹痛・下痢などを呈するため、ループス腸炎を初発症状としてSLEを発症した場合、診断に難渋することが報告されている。SLEの好発年齢である若年女性で、原因不明の下痢・腹痛を認める場合は、ループス腸炎を念頭に置いて精査を進める必要がある。 春日部中央総合病院 氏名 水上 雄太

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