p48~49,1996. 1.前期は、取り組まれる方が多く、80%から90%の取り組み率であった。難易度を2つ程度に分けて提供したが、中級から上級でⅤⅤ..考考察察 ⅥⅥ..結結論論 は、「難しい」「年取るとこんなこともできなくなって嫌になっちゃう」など悲観的な感情を表出される方が数名いた。「難しい」や「間違っている」と感じると、その後、手を付けることが少なくなってしまい、初期の後半は、全体の取り組み率が50%程度に下がってしまった。難しい問題では、隣同士や同じテーブル数名の方で一緒に考え答えを導き出す場面が見られた。 2.中期では、難易度を比較的優しい問題とし、男女や対象者の興味がありそうな分野に合わせて提供すると、全体の取り組み率は、60%ほどに上がった。女性は計算問題への苦手意識を持たれる方が数名いた。視覚系では、白黒コピーでは見えにくいという意見があり、取り組みに繋がらない日があった。男性は計算系、女性は国語系が取り組みやすい傾向が見られた。認知症および上肢の機能制限により、脳トレが困難な方数名には、脳トレからパズルへ変更した。 3.後期は、60%から70%程度の取り組み率を維持することができた。利用者同士でわからない問題や答え合わせなどを、同じテーブルの方だけでなく、他のテーブルまで歩行で移動し、確認する様子があり、身体的活動性も上がっている。また、これまで自主トレやレクリエーション活動に興味を示さなかった男性Hさんが、脳トレを手に取り、読んでいる姿が見られるようになった。書くことは求めず、職員との会話の中で答えや意見を引き出すことができ、笑顔が見られるようになった。また、男性の中には、自分から脳トレ以外に希望する自主トレや手伝い事を伝えてくれる方も出てきた。しかし、認知機能の高い方の中には、「こんなことやりたくない」との発言もあった。 生活意欲に影響する要因は、高齢者には加齢に伴う変化や疾患による身体的問題、生活習慣であり、喪失体験などによる精神的問題、家族形態の変化、社会とのつながりの減少によりネガティブな感情が続き生活意欲の低下を引き起こす。 今回の取り組みの中でも、認知機能や心身機能の低下または不安により、利用者自らが認知的活動である脳トレに取り組むことに消極的になっていることがわかった。 アトキンソンの達成動機理論によれば、「達成行動は達成動機・成功の期待・成功の魅力の積で決まるとしている。」²⁾毎回1枚の脳トレ課題を提供し、個人の動機の大きさに合った課題の難易度を調整するなど、取組み環境を設定することで消極的感情が減り、課題が達成できたという成功体験の積み重ねることができた。加えて、取り組みができた時の職員の声掛けや関わり、同じく課題に取り組む他の利用者の存在と交流も外的動機づけとなり、利用者自ら取り組むことに繋がった。お互いが認知機能の向上だけでなく、張り合いをもって行う良好な相互関係を築き、他の場面での意欲向上にも繋がり、内発的動機づけが得られたと考える。 今回、外的動機づけにより始めた行動が、いつしか、興味や関心が誘発されたことにより、内的動機づけに繋がり、内発的動機づけによる行動に変化していったと考える。 今後は、脳トレは、1つの手段として考え、利用者一人ひとりのADLや状態にあったレクリエーションを提供し、利用者の意欲向上に努めていきたい。 引用文献 1) 麦倉文夫他:新版心理学要論 有斐閣宋書 - 59 -2) 角山剛:第11回続達成へのモチベーション-J.Wアトキンソンの研究- 株式会社日本教育クリエイト 2018.4.4
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