松葉杖の使い方（こんな時どうする？）
2024年8月13日
IMSグループ リハビリ部門監修
はじめに
松葉杖は脚の骨折や怪我、痛みにより強く体重をかけることが難しい場合に使用します。
松葉杖を使用する目的の多くは、脚にかかる荷重を減らすことで、痛めた脚の荷重を軽減させ負担を減らす、姿勢のバランスを取りやすくする、
歩行効率を良くするといったメリットがあります。
しかし、正しく使用ができていないと回復を妨げたり、更なる怪我を引き起こす可能性があります。
松葉杖を使用する前に歩行方法等をご確認の上で使用されることをおすすめします。
このページでは実際に松葉杖を使った動作で困る日常のシュチュエーションで役に立つ動画を公開しております。
松葉杖の正しい使い方
松葉杖の適切な高さ
松葉杖の長さは、成人の場合は「使用者の身長－40cm」が体に合った適切な長さの目安だと言われています。
また、脇の下から指３、４本程度あけた位置に松葉杖の上面が来るくらいの高さが目安です。
握るグリップ高さは、足先より15cm程外側に杖先を置いて肘(ひじ)を軽く曲げた状態（約30度）でグリップが握れるくらいが目安となります。
個人差があるため、松葉杖を使う時は専門家のアドバイスを受けて、ご自分の身体の状態にあったものを選びましょう。
松葉杖を使用した場合の基本となる歩行方法と注意点
松葉杖を使った歩行方法にはいくつか種類があり、脚の状態に合った歩行方法を選ぶことが重要です。
荷重量の減らした歩き方は複数あり、実際にどの歩行方法を採用するかは医師等の専門家の指示に従ってください。
基本的な松葉杖の使用方法として、松葉杖には寄りかからず、脇の下は指２本分開けるようにしましょう。
脇に体重をかけてしまうと、血行不良を招いたり、神経が圧迫されて手が痺れるなどの症状を引き起こす可能性があります。
最も一般的な歩行法は３点歩行と言われ、患側に脚を体重を掛けない方法です。
- ①肩幅よりも少し広く、左右の松葉杖を前に出します。
- ②松葉杖で床を押して体を浮かせます。
- ③健側の脚を1歩前に運びます。
その他にも、回復過程に合わせて体重をかける方法や量は、医師の指示にしたがってください。
患側の脚に50％程度荷重が可能になると片松葉杖での歩行に切り替える場合があります。
回復により脚に体重をかけられるようになった場合の歩行方法は下記動画をご用意しましたので、是非参考にしてください。
レンタルや購入時の注意点
松葉杖を使用する際は、下記の選択肢があります。
①受診した病院で借りる
②購入する
③介護保険を利用してレンタルする
受診先でどのような方法が良いか相談するようにしましょう。
購入される場合は、ネット通販やホームセンターでも購入できるところが多いです。購入の際には松葉杖の長さに注意して選んでください。
また、長さは調整可能なものもありますので使用する方に合うものを選びましょう。
通学や通勤中の松葉杖の使い方
電車や階段での松葉杖の使い方
松葉杖を使用した階段昇降は転倒する危険性が高い動作です。
階段や段差を移動する際は混雑する時間をさけて移動をされたり、エレベーターを使用されることをおすすめします。
階段・段差の上り下りは、
昇段：健側(ケガ等をされてない側)の脚 → 杖・患側(ケガや免荷が必要な側)の脚
降段：同時に杖・患側の脚 → 健側の脚
これは、電車の乗り降りでも同様の方法で行うことができます。
階段の中央を移動するとバランスを崩した際に掴まるところがなく転落の危険性が高くなります。階段の端を歩いたり、手すりを使用する方法もあります。
患側の脚にどの程度体重をかけて良いかにより方法が異なるため、詳細は下記動画をご確認ください。
椅子から立つ時、床に座る時
松葉杖を構えたままで椅子に座ろうとするのは大変危険です。滑ってしまい、尻もち転倒等に繋がり受傷するリスクがあります。
座る際は怪我をしている側の手で杖をまとめて持ち、反対側の手で座る場所に手を付き健側の脚と手で体を支えながらゆっくりと座ります。
立ち上がる際は逆の手順で行います。
やむを得ず、床に座る場合にも松葉杖のみを支えに行おうとするのは非常に危険です。
ベッドなど安定しており、両手をついて体を支えられる支持物を使用しましょう。