最先端医療に挑むIMSグループの医師たち

2015年 取材

 最先端医療のメリットは、「より高い治療効果が期待できる」、「体をほとんど傷つけずに手術できる」、「入院期間を短縮できる」などさまざま。IMSグループでも、最先端の医療技術や医療機器を積極的に導入し、患者さまにとっての治療の選択肢を増やすとともに、より優れた医療を提供することを可能にしています。この記事では、最先端医療を使いこなす医師をご紹介しましょう。先進医療推進機構(AMPO)のウェブサイト『AMPO.tv』からの抜粋です。

  • 脳血管内治療(横浜新都市脳神経外科病院 森本院長)
  • 内視鏡的粘膜下層剥離術(イムス札幌消化器中央総合病院 丹野院長)
  • 冠動脈バイパス手術(イムス東京葛飾総合病院 吉田院長)

吉田 成彦

※本掲載内容は2014年2月28日に掲載された先進医療推進機構(AMPO)のウェブサイト『AMPO.tv』からの抜粋になります。

最大のメリットは、狭心症や心筋梗塞の再発が少ないこと

 イムス葛飾ハートセンターはあらゆる心疾患に対応する専門病院として2009 年に誕生した。以来、地域医療との連携も密にしながら数多くの実績を重ねている。
 このハートセンターを牽引するのが吉田成彦総院長だ。心臓外科医として3,000例以上の執刀数をもつベテランであり、“医師が選ぶ専門医”こと『ベストドクターズ』(米・Best Doctors,Inc.『Best Doctors in JapanTM 2012〜2013』)にも選出された。ハートセンター開設前の新葛飾病院では血管外科チームを立ち上げ、足の血管の病気の治療にも注力した。「歩くことは生きがいにつながる」という吉田のもと、チームは順調に実力を上 げ、下肢静脈瘤、閉塞性動脈硬化症の手術数では都内第1位になるまでに成長した。
 そして、いま、ハートセンターにおいて、吉田が精力的に取り組むのが低侵襲の冠動脈バイパス手術である。
 冠動脈とは心臓をぐるりと取り囲む3本の動脈で、心臓の筋肉に酸素と栄養を届ける役割を果たしている。この血管が狭くなったときに起こるのが、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患。
 その元凶となるのが、血管の内壁に悪玉コレステロールなどが付着して起こる動脈硬化である。手術では狭窄・閉塞した冠動脈の代わりとなるバイパス(迂回路)を形成することで血流を確保し、心筋へのスムーズな酸素・栄養補給を促す。その最大のメリットは、他の方法に比べて再発が少ないことである。

小さい傷口で手術が完了。
従来に比べ、患者さんのQOLが大幅に向上

【 治療実績 (2007年4月〜2010年12月)】脳動脈瘤塞栓術:134件 / 頸動脈ステント留置術:151件 手術の映像を観ながら吉田が穏やかな関西弁で語り出す。 「冠動脈バイパス手術には50年ほどの歴史がありますが、一つには“バイパスの開存率を100に近づける”ための技術探求の歴史だったといえます」
 開存とは、バイパスとして形成した血管がふたたび詰まることなく、10年、20年と良好な状態を保つことをいう。当初、バイパス用の血管には足の静脈が使用されていたが、1980年代末ごろに動脈が使われるようになってから、開存率は格段に向上した。ハートセンターでは、開設以来、120例以上の冠動脈バイパス手術を行ってきたが、開存率は「ほぼ100パーセント」という実績を誇っている。
「もう一つが、“患者さんの体への侵襲を少なくしよう”という技術探求の歴史です」かつて、この手術は心臓を止め、人工心肺につないだ状態で行われていた。しかも、のど下から胃の上あたりまで15センチ以上にわたって切開し、胸骨や肋骨を切って、心臓を露出させて行うのが一般的だったのである。
 周辺機器が発達にも助けられ、2000年ごろからは心臓を止めない“心拍動下手術”が導入された。いちばんの利点は人工心肺による合併症をなくすことができることで、現在、日本全体では60〜70パーセント、ハートセンターでは約98パーセントをこの心拍動下手術が占めるようになった。
 また、吉田がこだわるのが「小さい傷で治すこと」で、このあとで紹介するように、傷口は数センチ、肋骨も胸骨も切らないというバイパス作りの手法を確立した。映像は狭心症で冠動脈バイパス手術を受けた男性の上半身である。これを見ただけでも、傷の小ささがよくわかるだろう。
 とくに骨を切ることの影響力は大きく、痛み、出血、感染症のリスクが高くなるうえ、日常生活における注意点も多い。その点、“最小低侵襲手術“なら、体にやさしく、術後の回復が早く、患者さんのQOL向上に大きく貢献するのである。

高度な手技を駆使した日本初の“2本バイパス”も実現

 2014 年、吉田が新たに始めているのが、従来の冠動脈バイパス手術をさらに進めた“2本バイパス”という先進医療である。
 手術の映像を観ながら、吉田自身が解説する。はじめの2ステップはバイパス用の動脈の準備だ。右の胸の下を7センチほど切り、胸骨の下にあ る内筋動脈を剥離する。
 次にお腹を5センチほど開いて、胃の大綱動脈も取り出す。
 続いてのバイパス作りは、最初の胸の開口部から行う。開口部からは鼓動する心臓が見えていて、「(傷口は)僕の手よりも小さいでしょう」と吉田。
 内筋動脈を心臓の前下行枝につなぐ。大綱動脈は横隔膜を通して心臓まで誘導し、右冠動脈の回旋枝につなぐ。これで、2本のバイパスの完成だ。
「内筋動脈と大綱動脈による2本バイパスを、この小さな傷で実現したのは日本で初めてのことだと思います」高度な技術を要することから、2本バイパスの施術のできる医師は日本にはまだほとんどいないのである。そんな状況に先行し、吉田はこの手術をコンスタントに行い、着々と実績を重ねている。
 また、他の血管を使った合わせ技なども続々と実現し、治療方法の可能性をますます広げようとしている。


有能なドクターの優れた医療技術を動画で紹介 AMPO.tv 〜先進医療に挑む〜

『AMPO.tv〜先進医療に挑む』は、一般財団法人 先進医療推進機構(AMPO)が開始した新しい事業。病気になったとき、「どんな先進的な医療が受けられるのか」、「どこに行けば優秀な医師に出会えるのか」といった患者さまやご家族の切実なニーズに応えるために、全国で活躍する有能なドクターの優れた医療技術を動画で紹介しようという試みです。この記事でご紹介した医師をはじめ、IMSグループの医師も登場しています。
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