医療機器を保守・点検を行い、いつでも安全に使用できるようにしている医療専門職です。
(CE:Clinical Engineer ME:medical Engineerと呼ばれています。)
医学だけでなく工学の知識も要しており、医療機器から手術・治療をスムーズ進められるようにチーム医療を支えています。
1)機器管理業務
代表的な医療機器には人工呼吸器や精密点滴ポンプ、患者さんのベッド横や頭上にある心電図や呼吸数を表示しているモニターなど、病院内には私たちが管理している医療機器は数百台に上ります。それぞれ使用前、使用中、使用後の点検や作動チェックを行い記録、保管します。
また車の車検と同じように年1回の総点検が義務付けられており全て記録と保管が必要です。
このような毎日の積み重ねと定期的な点検で安全に医療機器を使用しています。
2)血液浄化業務
代表的な血液浄化法は血液透析です。
施術の際しては医師の指示のもと準備から血管への針刺し(穿刺)、透析中の血圧などバイタル監視、終了後の抜針まで全てを行います。
また血液浄化には透析以外に炎症物質の除去や血漿の吸着法もあり症状や状態に合わせて手技を選択して行います。
3)カテーテル業務
カテーテル検査、治療では常に患者さんの心電図や血圧、酸素の状態を監視しています。
同時に検査や治療に使われる医療機器の操作や監視も行います。緊急症例も多く迅速な対応が求められます。
また使用される数千種類のカテーテルやバルーンなど医療材料の管理も行います。
4)手術室業務
心臓手術では心臓と肺を止めないと手術が行えないため人工心肺という心臓と肺の役割を担う装置が必要になります。
この装置の操作、電気メスや手術室内の医療機器の監視が主な業務です。また人工弁、人工血管などの医療材料の管理を行います。
5)その他の業務(ペースメーカー、救急搬送)
当院では、ペースメーカの外来を行なっており、先生と臨床工学技士でペースメーカをチェックしています。
患者さんに植え込まれているペースメーカが正常に作動しているか、患者さんに不整脈が起きた場合、その心電図を記録しているので記録を確認しています。
当センター所有の救急車で搬送をする際には様々な医療機器が付随してる場合が多いため、我々が同乗して安全な搬送ができるよう努めています。
精密点滴ポンプ(輸液ポンプ・シリンジポンプ)
患者さんが入院になって、最初に使用されるのが生体モニタと輸液ポンプ・シリンジポンプです。
輸液ポンプでは点滴バックを1時間あたりどのくらいの量で患者さんに投与するか医師の指示のもと設定を行い、送液していく機器となっています。
シリンジポンプは輸液ポンプよりも精密な機器となっており、0.1まで細かく送液の流量を設定できます。
高流量で患者さんに点滴を送りたいときは輸液ポンプ、逆に少量の薬で患者さんのバイタルに変動がある薬剤の使用に関しては、シリンジポンプを使用しております。
私たちは、この輸液ポンプ・シリンジポンプの点検を行っており、送られていく量(流量)に誤差が無いかや、点滴が空になったときになるアラームが正常に作動するか、などの点検を行っております。
患者さんの中には、手術が無事に終わりましたが麻酔がまだ効いており自分で呼吸をすることができない、または息が苦しい、自分での呼吸がし難い・出来ないという患者さんに対して、人工的に呼吸のサポートをする機械が人工呼吸器です。
人工呼吸器には、口の中に管を入れて行う(挿管)人工呼吸と顔に装着するマスクタイプの人工呼吸(NPPV)とがあります。
私たちは人工呼吸器が必要な患者に対して医師と相談し人工呼吸器の設定や、使用中の患者さんでトラブルがないか、患者さんの呼吸の補助ができているのかの点検や患者さんが人工呼吸器を離脱した後の使用後点検を行なっております。
患者さんの心拍数の中で徐脈(40拍/分以下)になってしまった場合に足や首からカテーテルを挿入して心臓に持っていき電気刺激を行なって脈を早くし通常の脈拍数にします。
心臓の手術で一度心臓を止めて行う手術では、心臓を再度動かすためにこの体外式ペースメーカを使用して心臓を動かします。
私たちは、その体外式ペースメーカがしっかりと患者さんの心臓に電気刺激を与えられているか、患者さん自身の心臓の電気刺激を感知できているかなどの機器の点検を行なっております。
その他にも心臓血管外科の手術で使用される医療機器や循環器内科のカテーテル治療で使用されている医療機器など、様々な医療機器に関して臨床工学技士が携わっています。
呼吸補助装置、補助心臓装置(大動脈内バルーンパンピング、ECMO)、ポリグラフ、アブレーションシステム、人工心肺装置、自己血回収装置、電気メス、超音波血流計、超音波メス、除細動器
臨床工学技士は、国家資格です。
近年医療機器の発展が目まぐるしくなっており医療機器を安心・安全に操作や監視、保守・点検を行うために出来た資格となっています。
もちろん医療機器の専門的な知識だけではなくその機器を使用される患者さんの状態等、医学的な知識の双方を理解し操作や監視、保守・点検を行っています。
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