血管外科 : 下肢静脈瘤センター
下肢静脈瘤センター開設
平成25年4月より血管外科を開設し、様々な血管疾患に対して診療を行ってまいりました。富士見市、ふじみ野市、三芳町を中心に、志木市、新座市、朝霞市、川越市、久喜市、北本市、東京の板橋区など多くの地域の患者さまに当科へ受診していただいております。
下肢静脈瘤外来には平成26年7月までに約350名の患者さまが受診されました。平成25年6月に第1例目の手術を開始し、平成26年8月までに119名、150肢に対してストリッピング手術を行わせていただきました。
そこで、さらなる下肢静脈瘤診療を充実したものにするために、この度、下肢静脈瘤センターを開設いたしました。
下肢静脈瘤レーザー治療は以前より行われておりますが、埼玉県ではいち早くとなる高周波アブレーションカテーテル治療を導入し、平成26年8月より血管内治療を開始し平成27年1月までに63例91肢に施行させていただきました。
トピックス
下肢静脈瘤の症状
足の表在の静脈の病気が下肢静脈瘤です。静脈には逆流防止弁があり、ふくらはぎの筋肉がポンプの役割をして、静脈が圧迫され血液が心臓へ運ばれます。調理師、美容師などの立ち仕事や妊娠、出産などが原因で、弁の機能が壊され、逆流がおこり、静脈血が滞ること(うっ滞)になります。そのうっ滞が「つる、むくむ、だるい」などの症状を引き起こします。脚の血管が浮き出たり、太くなったり、蛇行したり、さらには症状が悪化すると皮膚に色がついてしまう色素沈着や潰瘍などの症状にも進展します。
治療法
圧迫療法
圧迫療法とは壊れている弁のかみ合わせを改善し、筋肉のポンプ作用を増強することによりうっ滞を取り除きます。外来ではまず医療用の弾性ストッキングを履いていただくように説明しています。ストッキングを履くだけで、症状の改善や進行を抑えることができます。ただ、値段がやや高いことや、履くのが大変であることがあり、また、根本の治療ではないので静脈瘤自体が治ることはありません。
硬化療法
硬化療法とは硬化剤という薬を静脈に注射し静脈瘤をつぶしてしまう方法です。小さな静脈瘤に有効でありますし、外来で気軽に行えます。しかし、血栓ができてしまったり、色素沈着を起こしてしまったり、再発するというデメリットもあります。
手術療法
当院では、以前より行われているストリッピング手術と最新の血管内治療のどちらも保険診療で治療可能です。
血管内治療
血管内治療では膝の周辺から針を刺して、カテーテルを挿入します。高周波カテーテルから放出される熱により静脈の壁を収縮させ閉塞させてしまう治療法です。
- カテーテル挿入
- 治療後
血管内治療の仕組み
- カテーテルを静脈に挿入する
- 熱エネルギーを放出し静脈壁を収縮させる
- 静脈が閉塞する
提供: 日本コヴィディエン株式会社
ストリッピング手術
ストリッピング手術では太ももの壊れてしまった静脈自体を取り除きます。取り除いた場所からの再発が少ないということが長所ではありますが、小さな傷がつくなどの短所もあります。
「静脈を取り除いたり、閉塞しても大丈夫なのか?」という疑問もあると思いますが、心配ありません。手術前には脚の静脈の情報を知るために、下肢静脈の超音波検査を行い、静脈の逆流や深部静脈の情報を得ていますので、深部静脈が開存していれば問題はありません。
- 手術前
- 手術後
症例紹介(高周波治療)
72歳男性の患者さまです。普段は地域の皆さんに愛される八百屋さんで、常に立ち仕事で以前より右内くるぶしの湿疹とかゆみ、色も黒かった(色素沈着)もあったようです。潰瘍にもなり、潰瘍からの出血があり当院へ紹介されました(写真1)。
超音波検査を行い、下肢静脈瘤による静脈うっ滞性潰瘍と診断いたしました。圧迫療法(写真2)を開始し、潰瘍は改善いたしました(写真3)。
圧迫療法は下肢静脈瘤の根本的な治療ではありませんので、手術療法をおすすめしました。 太もも(大腿部)内側の大伏在静脈の逆流(写真4)が原因なので、大腿部は小さな針穴だけの高周波アブレーションカテーテル治療(写真5)を行い、ふくらはぎの静脈瘤は小切開による静脈瘤切除(写真6)を行いました。
手術当日から歩くことも可能で、翌日には退院して通常の生活をしていただいております。手術後1か月(写真7)、3か月(写真8)と潰瘍と色素沈着も改善しております。
お問い合わせ
足が「つる、むくむ、だるい」などの症状は心臓、腎臓、肝臓、甲状腺などの他の病気の症状のこともありますが、まずはお気軽に外来を受診ください。お待ちしております。
イムス富士見総合病院 血管外科:
TEL: 049-251-3060