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ドクターインタビュー
食道外科

食道がんに限らず、
全てのがん治療で大切なのは
「早期発見・早期治療」です
食道外科川﨑 仁司医師
食道がんに限らず、全てのがん治療で大切なのは「早期発見・早期治療」です

国民の2人に1人が「がん」になる時代。背景には、高齢化や食生活等の変化があるとされ、
「食道がん」も、こうした変化が関連したがんの一つです。
気になるその原因や予防法などについて、担当医師に聞きました。

知っておきたい
食道がんの基礎知識

がんに比べて発生頻度は低いですが、年間約26,000人の方がかかり、約10,000人が亡くなっています。 男女比では、圧倒的に男性が多く、女性の6~7倍。年齢的には、60代から70代に多くなっています。
食道は直径2~3cmの臓器なので、がんが大きくなると物が詰まるようになります。 ですから主な症状には、「物が喉を通らない」「声がかすれる」と言ったものがあります。 極まれに「沁みる」という症状で早く見つかることもありますが、胃に近い部分では、腫瘍が柔らかいとなかなか症状が出ないこともあります。
この他、咽頭がんや喉頭がんと原因となる要素が似ていて、そこから見つかることも非常に多く、耳鼻科の病変との合併も多く見られます。
初期の場合は早期治療が可能ですが、現在、指針として定められている検診はありません。

主な原因、
またかかりやすい人は?

たばことアルコールには要注意

がんは「遺伝子に傷がつく」ことで発生しますが、その原因となるのが「たばこ」と「アルコール」です。
アルコールに関しては、その分解過程で発生する「アセトアルデヒド」が発がんに関係してきます。 アルコールの分解酵素は大きく分けて2種類あり、この内の1つ「アセトアルデヒドを分解する酵素」が少ない人…これは「フラッシャー」と呼ばれる「お酒を飲んで赤くなる人」なんですが…このタイプの方が、食道がんになり易いと言われています。

近年の傾向とバレット食道

日本人の食道がんは、その約9割が「扁平上皮癌」というタイプですが、欧米では「バレット食道」と呼ばれる状態から移行した「腺がん(バレット食道がん)」が大多数です。 しかし最近は、日本でもこの「バレット食道がん」が増えてきています。 バレット食道の原因となるのは、胃酸が食道に逆流しておこる「逆流性食道炎」ですが、食事の欧米化や体型(太っている人は胃酸の逆流がおこりやすい)により、バレット食道、そしてバレット食道がんになる可能性が高くなっていると言われています。

検査はどのように
行いますか?

がんを直接見ることが大事なので、「内視鏡」による検査は必須です。 その際に組織を採取して顕微鏡で病理検査を行い、確定診断に至ります。 がんの詳しい場所に関しては、内視鏡でもある程度分かりますが、食道の透視…バリウムを飲んでもらう検査ですね…これを行います。
また、食道は肺や心臓、気管といった重要な臓器に囲まれており、がんが大きくなると、そういった臓器に浸潤(がん細胞が周囲に広がること)する可能性もあるので、CTを使い、周りの臓器との関係性も調べます。 さらに、がんが近くのリンパ節や、肺、肝臓、時には脳などに遠隔転移することもあるので、その確認にもCTを用います。
リンパ節転移や遠隔転移に関しては、最近ではPET-CTという検査方法もあります。 これは全身を一回で検査できる上、ある程度の大きさのがんが赤く光って表示されるため、視覚的にも非常にわかり易い検査です。

どのような治療法が
ありますか?

早期のものでは、内視鏡で病変を取る治療を行います。それ以外は、「手術」「放射線治療」「抗がん剤治療」の3つの選択肢を組み合わせて治療するのが一般的です。
食道の周りには非常に重要な臓器が多いので、そういった臓器に浸潤している場合や、遠隔転移を起こしている場合は、放射線治療や抗がん剤治療が選択されます。
最近は、1~4のがんのステージについても一般的に知られるようになりましたが、大まかにいうと「ステージ1は内視鏡的な治療が可能」「ステージ2と3は手術を適応」「ステージ4は放射線と抗がん剤を組み合わせ、場合によっては手術も行う」という形になります。
手術可能ながんに関しては「手術治療」が最も良い成績を修めています。さらにステージ2と3では、「抗がん剤治療を一定期間行った後に手術を行う」のが、治療成績が良いことが分かっています。がんの勢いを抑えてから手術するという感覚です。
この他、術後のリンパ節転移などを調べた結果から、「手術後に一定期間抗がん剤治療を行う」方が治療成績が良いことも分かっているので、手術と抗がん剤を併用するケースは多いですね。
最近は、免疫チェックポイント阻害薬の「オプジーボ」が食道がんにも適応となったり、放射線治療でも「量子線」や「重粒子線」などが使えるようになったり、治療の幅が広がっています。

どういった予防法が
ありますか?

がん予防に関しては、「バランスの良い食事」「お酒を飲む量は節度を守って」「たばこは吸わない」「規則正しい生活」「十分な睡眠を取る」…などと良く言われますが、要は免疫を落とさないようにするということが大切です。
この他、食道がんは「辛い物をたくさん食べると発生頻度が高い」と言われているので、食道がんに特化すると「辛い物を極端に食べ過ぎない」というのもあります。
また「早期発見」も大事な要素ですが、45歳以上になったら、50歳までの間に最低1回は内視鏡検査をする。そして50歳を過ぎたら、年に1度は内視鏡検査をしてほしいですね。 さらに「たばこを吸う人」「お酒を飲む人」「お酒をちょっと飲んで顔が赤くなる人」は、気を付けてマメに検査をするのが良いと思います。 「酒は百薬の長」と言われますが、限度を超えてはダメです。

まず「検査」することが大事!

食道がんに限らず、がんの治療は「早期発見・早期治療」が重要です。 早期発見ができれば、治療の際の体への負担も少なくなります。 「病院が嫌い」という方もいると思いますが、早期のがんは、自分から積極的に検査をしない限り見つかる機会は非常に少いので、億劫に感じても、自分でスケジュールを立てて検査をすることが大事です。

食道がんに限らず、がんの治療は「早期発見・早期治療」が重要です。