医療コラム
大人のASD(自閉スペクトラム症)の特徴は?
その特性・行動などを紹介
日常生活や仕事において、周囲とうまく関係が築けず、困っている場合、大人のASDの可能性があります。
では、大人のASDとはどのような状態なのでしょうか?
本記事では、大人のASDとは何か、その特徴、対処・治療法について解説します。
これを読めば大人のASDの概略が分かりますので、自分や周りの人がASDかどうか確認する際に役立ててみてください。
大人のASD(自閉スペクトラム症)とは?
自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder ; ASD)は、人生の早期より認められる脳機能の偏りにより、物事のとらえ方や行動パターンが一定の様式があり、そのために日常生活に支障をきたす発達障害の一つです。
対人相互作用とコミュニケーションの障害、関心と活動の限局性(感覚過敏または鈍麻を含む)によって特徴づけられます。
子どもの頃は、親や教師など周囲の援助のおかげで気づかず、大人になって人間関係や仕事がうまくいかなくなり、初めてASDに気づくこともあります。
ASDの原因は解明されていませんが、脳の神経伝達物質に異常があり、脳機能に障害が起こり、認知や行動に偏りが生じるのではないかと考えられています。
治療は、薬物療法だけでなく行動療法と組み合わせるのが有効です。
大人のASDの特徴
大人のASDには以下の3つの特徴が見られます。
- 対人相互作用の障害
- 対人コミュニケーションの障害
- 行動・関心・活動の限局的、反復パターン
対人相互作用の障害
対人的・情緒的な相互性の欠如により、仲間関係を構築しにくくなります。
視線、表情、ジェスチャーを使ったやりとりの障害が見られます。
興味があるものを他人と共有できないのも特徴です。
例えば以下のような特徴が挙げられます。
- 人と視線を合わせるのが難しい
- 会話中に相手の表情を読んだり、ジェスチャーの意味を理解したりするのが難しい
- 人と会話中に、相手が感じていることを理解しにくい
- どのように友達を作ったらよいのか分からない
- 集団で活動したり、働いたりするのが難しい
- 他の人が自分に期待したり、望んでいることを理解しにくい
- 仕事での曖昧な指示や複雑な手順を理解できず、たびたびミスをする
- 社交的な場面で、どのように振る舞えばよいか分からない
- 場違いな発言や行動をしてしまう
対人コミュニケーションの障害
ことばを使った相互的なやりとりの障害です。
ことばのニュアンスや冗談・比喩が分かりにくいのが特徴です。
例えば以下のような特徴が挙げられます。
- 他の人と雑談やおしゃべりをしにくい
- 人と話すときに、自分が話を聞く番なのか、話をする番なのかが分からないことが多い
- 言葉通りに受け取りすぎて、言葉の裏に隠された意図に気づかないことが多い
行動・関心・活動の限局的、反復パターン
イマジネーションの障害とも呼ばれます。
通常よりも限局した対象に強い関心をもち、常同的な振る舞いを好み、こだわりが強いのが特徴です。
また感覚の過敏または鈍麻、感覚的側面への異常な関心が見られます。
例えば以下のような特徴が挙げられます。
- ものの全体像よりも細部に注目する
- 自分が興味のあることに対する知識はとても豊富だが、それ以外は無関心
- 物事が自分の思い通りのやり方でなくなると、非常に動揺する
- 予定外の出来事に対応できない
- 他の人にとっては普通の感触のものが肌に触れると、とても不快になる
- 自分の感覚に圧倒されてしまい、落ち着くために一人になる必要がある
- 人の大声や掃除機の音などをさえぎるため、両耳をふさぐことがある
- 時間の感覚が曖昧で、遅刻したり約束を忘れたりすることが多い
大人のASDの対処・治療法
ASDは生涯にわたり持続しますが、症状は成長や能力の伸びとともに軽くなります。
スキルの獲得、特性に応じた周囲の配慮、環境面の工夫により、日常生活における困難を減らせるのが特徴です。
環境調整や心理社会的治療で十分に改善しない場合、薬物療法を行います。
大人のASDの対処法や治療法は以下の通りです。
環境調節
日常生活や仕事場の環境を調節することで、困難を減らせます。
例えば以下のような手段です。
- 変更の少ないルーチン作業の仕事につく
- コミュニケーションが必要な業務を避け、パソコンスキルを活かす業務につく
- 口頭だけでなく、メールで指示をもらう
- スマホのアラーム機能やスケジュール機能を活用する
- 自分でできないことは周りの人に手伝ってもらう
行動療法
専門の医療機関において、心理社会的治療が行われます
- ソーシャルスキルトレーニング:具体的な行動をロールプレイで学ぶ認知行動療法の一つ
- 個別のカウンセリング
- ショートケア(デイケア)
薬物療法
症状がコントロールできない場合、薬物療法が行われることがあります。
- 抗精神病薬は、易刺激性や興奮性に対して有効
- 易刺激性、多動、常同行動にアリピプラゾールが有効
- 易刺激性、反復行動、引きこもりにリスペリドンが有効
大人のASDについて
今回は「大人のASDの特徴」をテーマに一般的な傾向や、特性・行動などの特徴を解説し、対処法や治療法についても触れました。
ASDは環境調整や心理社会的治療、薬物療法で治療を行いますが、知識と経験が豊富な専門医が必要です。
日本橋にある「スマイルクリニック イムス東京」(略してスマクリ)では、豊かな経験と資格を有する専門医が、正しく診断、治療いたします。
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