気分変調症
気分変調症(持続性抑うつ障害)とは
気分変調症とは現在は持続性抑うつ障害とよばれます。
症状としてはうつ病ほど強くない軽い抑うつ症状が慢性的に2年以上持続する病気です。
特徴は、うつ気分が一日中続き、そのような日が無い日よりも多く、しかもこのような状態が長期につづきます。
症状
以下の症状の2つ以上が当てはまると持続性抑うつ障害とされます。
- 食欲の減退または増加
- 不眠または過眠
- 気力の減退または疲労感
- 自尊心の低下
- 集中力の低下または決断困難
- 絶望感
持続性抑うつ障害はやや女性に多く、若年で発症することが多いとされます。
また、パニック障害などの不安障害やその他の障害、薬物やアルコール依存を併発しやすいことや、一部はうつ病や双極性障害の感情障害を発症する場合もあります。
若年発症が多いにもかかわらず、症状が軽症で長期にわたることから治療にいたるまで多くの時間が経過してしまう場合が多いことも大きな問題です。
持続性抑うつ障害の治療
抑うつ気分が続いてもなんとか日常生活や社会生活を行えてしまうこともあり、本人もにとって日常の一部となってしまい、周りも本人の甘えやパーソナリティの問題としてしまうこともあり、病気であることに自分ではなかなか気づけず適切な治療が受けられないことがあります。
向精神薬の進歩に伴って飲みやすい抗うつ薬も多くなってきたため、近年は一般的に抗うつ薬などの薬物療法が行われます。経過が長く、本人の自己肯定感が低い状態が続いているため、薬物療法と併せて精神療法でストレス認知や思考パターンの修正などの治療を行います。
持続性抑うつ障害とうつ病の違い
持続性抑うつ障害とうつ病は症状が似ています。大きな違いは
- 持続性抑うつ障害は、うつ病に比べて比較的症状が軽いこと
- 持続性抑うつ障害は、持続する期間が長いこと
うつ病は症状が2週間以上続くと診断されますが、持続性抑うつ障害は症状が2年以上続くと診断されます。
持続性抑うつ障害は症状が軽く、いつも落ち込んでいるので、周りに気づかれにくく、うつ病では周りから見ても目に見えて具合が悪いとわかります。うつ病では症状が客観的なのに対して、持続性抑うつ障害では症状が主観的であるともいわれています。
長い生活歴の聴取や症状を丁寧に判断しながら、いずれかを総合的に判断します。
持続性うつ病性障害とうつ病が合併した状態は、二重うつ病ダブルデプレッションとも呼ばれ、再発率が高く治療が難しいとされています。
持続性うつ病性障害(気分変調症)は長く付き合う病気
持続性抑うつ障害の場合は、思春期前後から気分の落ち込みがあっても強い症状がないため、なんとか学校や仕事を続けることができたりします。しかし長期にわたり社会生活や日常生活に影響を与えつつ、気づけば慢性化し悪くなっているという経過をたどることが多いです。
症状が一時的に良くなったり、消えたりした状態を寛解と呼びますが、持続性抑うつ障害はでは寛解を治療の目標とします。慢性的な経過をたどりやすいので、持続性抑うつ性障害は長い目で経過を見守るという病気と受け止めることが大切です。