自閉スペクトラム障害
自閉スペクトラム障害とは?
自閉スペクトラム障害ASDは、生まれつき持った脳の微細な異常を原因とする神経発達障害の一つです。コミュニケーション能力に問題があり、独自のこだわりにとらわれるがゆえに社会生活が大きな支障を来す障害です。
以前は広汎性発達障害と呼ばれ、その中には自閉症、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性障害、レット障害を含めていました。
アスペルガー症候群では知的障害は認められず、自閉症では多くの場合に知的障害をともないます。コミュニケーションの困難さと強いこだわりによる社会不適応は共通していることから、連続(スペクトラム=連続体)した障害の中での程度の差ととらえ、自閉スペクトラム障害として一つに統合しました。しかし現在でも自閉症やアスペルガー症候群の名前の方が一般的な認知度は高く、そのまま用いられている場合もあります。
自閉スペクトラム障害の症状
ASDの主な症状は次の二つで特徴づけられます。
- コミュニケーション能力の障害による社会性のなさ
- 独自のこだわりによる社会適応の困難
具体的には
- 相手と適度な距離をとれない
- まわりの状況や相手の感情を読み取れない
- 曖昧なニュアンスや表現が理解できない
- 想像力が弱く、文字通りの解釈をする
- 柔軟に視点を変えるのが難しい
- 決まったやり方や習慣に強くこだわる
- 関心や興味の対象が強く偏っている
- 同じ動作を繰り返す
- 感覚が過敏であるまたは異常に鈍感
重度で知的障害を伴う場合には
- 他人に関心を示さない
- 呼びかけても反応しない 目を合わせない
- コミュニケーションが取れない
- 一方的に話し会話が成り立たない
- 同じ言葉や行動をくり返す
- パニックになり大声でわめく突飛な行動をする
などの症状がみられます。
自閉スペクトラム障害の原因
ASDの発達障害の原因は解明されていませんが、脳の生まれつきの機能的な異常によるものと考えられています。つまりASDは病気ではなく、育児のしかたや心理的なストレスで起こるものでもなく、あくまで生まれつきの特性と考える必要があります。
その他の疾患や障害との合併
障害による強いストレスを感じ、うつ病や睡眠障害、パニック障害や強迫性障害など、その他の疾患や障害を合併することがあります。
自閉スペクトラム障害の治療法
ASDはあくまでその人の特性であり、病気として治療することは困難です。
したがって特性を、個性と考えることが必要です。
1 対処方法を見つける
障害自体を治すというより、特性に合わせて具体的な対処を見つけることが重要です。
2 周囲の方の理解も必要
対処を見つけ少しでも社会生活に適応するためにまわりの方の理解が不可欠です。
例えば
- あいまいな表現や言葉は使わずに、具体的な指示をする
- 相手の意図や気持ちが理解できないのでわかりやすく伝える
- 音や光に過敏な人には配慮する
- 緊急性が高くないなら、物事の急な変更はなるべく避ける
- 対人的なルールを伝えておく
- 失礼な態度や言葉を聞いたら指摘する
などがあげられます。
自閉スペクトラム障害の症状や原因などについて解説しましたが、スペクトラムに含まれる障害の程度はさまざまで、個人の特性により対処の仕方も異なるため、より詳しく知るためにWAISやWISCなどの知能検査(複雑心理検査)などが必要です。
このような場合はや重度と考えられる発達障害専門の医療機関への受診が必要です。