適応障害
適応障害とは?
適応障害とはadjustment disorderの略です。
「障害」という日本語訳の問題から、最新の日本語訳は適応反応症と訳されます。
適応障害とは、自分が置かれている環境に上手く適応できず、それにより心身に症状が出てしまい、日常生活に支障が出ている状態のことです。
適応障害は、まわりから理解されず、本人の性格や能力の問題とされてしまうこともあります。
ストレスを強く感じることにより心身の症状が悪化し、適応がますますうまくいかなくなり、他の精神疾患や身体疾患を発症する可能性もあります。
適応障害の原因
適応障害の特徴は、ストレスの原因やその時期がはっきりしていることです。
1番目は生活環境の変化です。
転勤や異動や転職、入学や進学、一人暮らし、結婚や出産など、を契機に症状が出現することがあります。
2番目は対人関係です。
新たな人間関係によるストレスはもちろん、これまでの同じ職場の上司や同僚、家族や配偶者などでも、状況の変化で対人関係のストレス高まります。
適応障害の症状
適応障害は、ストレスにより心身に起こる症状をひとくくりでまとめたもので、さまざま心身の不調をきたし、主たる症状は人それぞれです。適応障害の症状としては、以下が多くみられます。
精神症状
- 気分が落ち込む
- 不安、意欲が低下する
- 集中力がなくなる
身体症状
- 眠れない、いつも眠い
- 食欲がない、食べ過ぎる
- 吐き気、えずく(特に朝)
- 動悸がする息苦しい
- めまい、耳鳴り
適応障害は4つの基準を参考に診断されます。
- 明確なストレスに反応して、3か月以内に情動面、行動面に症状が出ている
- ストレスによる強い苦痛があり、そのため社会生活に支障をきたしている
- その他の精神疾患や、死別反応ではないこと
- ストレスがなくなると6カ月以内に症状が改善する
適応障害は、ストレス因が明確で、原因がなくなると改善するのが特徴です。
適応障害の治療法
まず1番目は環境を調整することです。自分が置かれている状況を考えて、ストレスの原因を見つけます。自分で改善できそうなことであれば、その環境を調整します。
しかしストレスの原因は自分では取り除けないことが多いと思います。
患者さまの状況を詳しく伺ってどのような環境調整をするのが良いかをご相談します。
2番目にご本人のストレスに対応していく力=適応能力を高めて行くことも考えます。
まずは症状を和らげるためにお薬を使うことがあります。ストレスの受け止め方(認知を変える)のアドバイスをおこなったり、認知行動療法などの精神療法を行います。
適応障害と初期のうつ病とは症状がよく似ている
はっきりしたストレス要因のある適応障害も長期になればうつ病へ発展することもあります。
うつ病になると症状は悪化していき、ストレスが解消されても回復しなくなったり、原因がないのに繰り返すようになったりします。
治療には適応障害を生じたストレスの原因を探り、改善するためにできることを探すことが大切です。環境からくるストレスで心身の体調不良を自覚されている場合、早めに専門の心療内科・精神科に早めにご相談ください。