社交不安障害
社交不安障害とは
社交不安障害の場合は、まわりの視線や見られることが必要以上に気になって、不安や恐怖が強くなり、日常生活に支障を及ぼす病気です。
かつて「対人恐怖」や「赤面症」などといわれているものが、これに該当します。
発症年齢は、10代半ばから20代前半で、比較的若い人に多く、日本では数多く見られます。
日常生活に支障を来している状態でありながら、気質や性格の問題ととらえてしまい、治療につながらないのもこの疾患の特徴です。
社交不安障害の症状
- 周囲から注目を浴びる場面において、著しい恐怖や不安を感じます
- 相手に迷惑や不快感をあたえる、否定的な評価を受けるのではないか、という不安や恐怖
- 身体症状としては、手が震える、冷や汗、赤面する、動悸、息苦しさなどを感じます
症状は一般的に見て、状況にそぐわないほど過剰であり、生活に支障を来し、症状またはそのためにその状況を回避することが6ヵ月以上続いている、とされます。
症状は一般的に見て状況にそぐわないほど過剰であり生活に支障を来し、症状またはそのためにその状況を回避することが6ヵ月以上続いているとされます。
社交不安障害が出やすい状況
人前での自己紹介、発表やプレゼン、人目に触れる場所での他人との飲食や雑談、人前で文字を書くなどが考えられます。他人に迷惑をかける、または否定的な評価をされる恐怖から過度な不安や恐怖を感じ、失敗を体験してしまいます。そして苦手な社会的な状況を回避しようとするようになり、これが社交不安障害の症状を回復しにくくします。
社交不安障害の診断
まず第一に社交不安障害と同じような症をおこす身体的疾患を除外することが必要です。
バセドウ病などの甲状腺疾患や不整脈などの循環器疾患、呼吸困難を起こす呼吸器疾患、手指の震えを起こす神経疾患などが挙げられます。
また、社交不安障害と似た精神疾患との鑑別も重要です。
広場恐怖症(いわゆるパニック障害)は閉鎖空間や乗り物などの場所や状況に対して不安や恐怖が出現します。これ以外にも、過去のトラウマがフラッシュバックする心的外傷後ストレス障害(PTSD)、ほかうつ病、刺激に過敏となる自閉症スペクトラム、適応障害なども似た症状がみられます。
社交不安障害の治療
社交不安障害の治療は、大きく分けると2つの方針があります。
薬物療法
まず症状の起こりやすい状況に一時的に薬物を使ってやり過ごします。
さらにはもともとの不安の起こりやすい脳の状態を変えていく一日中効く薬物を使用することで症状を出にくくすることもあります。
一次的に症状を緩和する薬物は即効性がある薬物で
- 抗不安薬 不安や緊張を抑える
- β遮断薬 動悸やふるえを軽減する
- 抗コリン薬 発汗を抑える
- 制吐剤 吐き気を軽減する
などがあります。
これに対して1日中効果を期待するお薬は、作用時間が長く、脳の状態を長期間安定させ、依存性の少ない
- 抗うつ薬 SSRI(セロトニン取り込み阻害薬)
- 抗不安薬 長時間作用型のもの
などがあげられます。
精神療法
お薬を用いて症状を安定させながら、精神療法的アプローチで(行動療法 暴露療法など)症状の出現を抑えていきます。
ストレス社会の現代病の一つと言われる社交不安障害の症状や治療法について解説しました。
病気という認識がなく、長い間悩まれている人も少なくありません。
思い当たる状況で不安や苦痛を感じている場合は、性格の問題だからと決めつけずに、
専門の心療内科・精神科に早めにご相談ください。