パニック障害
パニック障害とは
パニック障害とは、強い不安や恐怖を繰り返すことを特徴とする疾患です。
極度の不安により起こる発作は、過呼吸などの激しい身体症状を引き起こし、死ぬのではないかという恐怖になるほど強いものです。このような発作を繰り返したり、また起こるのではないかと感じるようになると日常生活に大きな支障を来すようになります。
広場恐怖症との合併
パニック障害は、広場恐怖症と合併することが非常に多く状況依存性がみられます。
広場恐怖症とは、自分でコントロールできず、逃げることのできない環境や状況において強い不安や緊張を抱く恐怖症です。それをきっかけにパニック発作を起こします。
広場恐怖症は自由に乗り降りができない交通機関(すぐに降りることのできない特急や新幹線 飛行機など) エレベーターや地下室などの密閉された空間 動くことのできない映画館やアトラクションの行列などさまざまな環境状況で起こります。
パニック発作の問題点
パニック発作は、恐怖とともに脳に記憶として残り、同様の環境や状況でまたおこるのではいかという予期不安を生じ、それを避けてしまう回避行動にいたってしまいます。
予期不安
過去にパニック発作が出た同じ状況におかれることが想定されると「また同じ発作起こるのではないか」と強い不安を感じようになります。
回避行動
過去にパニック発作が出た同じ状況を、避けて行動するようになります。
予期不安と回避行動は、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、治療へ向かうことが遅れてしまう原因となります。
パニック発作の症状
パニック発作は恐怖や不安が強まり、自律神経が過度な緊張状態を生じ、多彩な身体症状として現れ、下記の症状があげられます。
- 動悸、息切れ
- 大量の発汗
- 手足のふるえ
- 息切れ 息苦しい 喉の異物感
- 胸の痛み 不快感
- 吐き気 腹部の不快感
- めまい、ふらつき
- 寒気、熱感
- 現実感の消失 離人感(自分が自分でないような感覚)
- 気持ちを抑制できず、どうにかなってしまうのではないかなどの恐怖
- このまま死んでしまうのではないか などの恐怖
パニック障害は、パニック発作の上記の症状を4つ以上繰り返し、予期不安や回避行動が1カ月以上続く場合が診断基準となります。
パニック障害の原因
パニック障害の原因としては、ストレスや危険を感知する扁桃核という脳の一部分の働きが弱まり、自律神経系の過剰な興奮を起こすことによって生じると考えられています。
こうした脳の機能異常を引き起こしやすい環境要因には、ご本人の性格傾向、ストレフルな日常生活、過去のトラウマ(心的外傷)などがあります。
また喫煙やカフェインの摂取は、パニック発作を起こしやすくする要因となります。
パニック障害の治療
パニック障害の治療法は
- 薬物療法でパニック発作の程度や頻度を落ち着かせる
- 認知行動療法などの精神療法を用いて、予期不安や発作の起こりやすい状況に対する苦手意識を和らげていく
この2段階が必要です。
パニック発作を安定させる治療
不安やストレスの中枢をコントロールするために、抗うつ剤でセロトニンの働きを強めて発作を抑えて、少しずつ心身を回復させ症状の安定をはかります。強い不安に対し抗不安薬などを頓用で使う場合もありますが、依存や耐性の問題があるため、可能な限り頓用にとどめます。
お薬は次のステップを併行して行う間は長期間継続することが必要です。
発作を起こりにくくする治療
これは起こりやすい状況に慣れていく治療法です。パニック障害は、広場恐怖症を合併している場合が多いので、パニック発作が起こりやすい状況への曝露をコントロールしながら、発作に頻度や程度を抑え、予期不安減らしていくことです。いわば自信を取り戻すステップです。
もちろん起こりやすい状況を回避する環境調整も必要となります。
パニック障害は、症状が強くなってしまうと予期不安や回避行動によって、社会生活が思うようにできなかったり、病院に通院することが難しかったりします。
お困りでしたらぜひ専門医に相談されることをお勧めします。