当泌尿器科では腎・尿管・膀胱の尿路と男性性器における疾患のうち、特に前立腺の病気(肥大症、腫瘍)と腎・尿管結石および尿道・膀胱の病気(腫瘍、尿失禁、膀胱脱等)に力を入れています。
また、膀胱炎や尿道炎などの感染症治療とLOH症候群のインポテンツに対するホルモン補充やバイアグラ処方の服薬指導も行っています。
01. 前立腺の病気
前立腺肥大症では症状に応じた内服治療や内視鏡手術のほか、肥大症の程度に合わせた段階的治療ができるよう工夫し
ています。初診時と次回検査日でほぼ治療方針をお話でき、患者さまの希望に合わせて治療の方針を検討します。また同時に採血マーカーと画像診断による前立
腺腫瘍の検診も兼ねています。前立腺腫瘍は早期発見と根治的手術を中心に、内分泌、化学療法を組み合わせ、質の高い治療を心掛けています。
当院で行っている治療方法
TUEB(バイポーラ核出術)前立腺肥大症に対する内視鏡手術
今までの治療法は、肥大した前立腺を「削る」治療が主流でした。組織を削ることは、出血が続き、合併症のリスクが高くなることを招いてい
ましたが、この最新の手術(TUEB)は前立腺を「くりぬき」ます。くりぬくという方法のため、出血が少なく、周辺組織への影響も少ないので、患者様の体
への負担が少なくなります。また、術後に起こる場合がある副作用の可能性が低減されるなどのメリットも期待されています。
ミニマム創手術(内視鏡小切開)前立腺癌に対する低侵襲の根治術
ミニマム創手術には4つの特徴がございます。
- 指2~3本分幅の小さな傷がひとつだけ。
- 腹膜に傷をつけないので、術後に内蔵の癒着が起こりません。
- 腹腔鏡手術と異なり腹部に空間をつくる炭酸ガスを使わないため、ガスを注入することで起こるガス塞栓や肺塞栓などの合併症のリスクが低いと言われています。
- かつて開腹手術をして癒着のある患者さんでも受けることができます。
以上4つの特徴が、低侵襲で安全性の高い手術を可能にし、最終的に患者様への身体的負担の軽減が期待されます。
接触式レーザー前立腺蒸散術(CVP)
当院では、新しくレーザー治療としてCeralas®HPD
レーザーを導入しました。前立腺組織に光ファイバーを接触させ、組織中の水分、血液を一瞬で沸点に到達させます。蒸発させることで、組織を気化し消失させる手術方法です。この手術方法には、4つの特徴がございます。
- 抗凝固薬・抗血栓薬の服用を継続した状態でも手術が可能
- 短時間で手術が可能
- 前立腺に多少の結石が見受けられても手術が可能
- 術後のカテーテルが短期間で抜去可能
02. 腎・尿管結石
腎・尿管結石では救急対応を迅速に行い、初診時に確定診断と治療方針をお話します。治療は内服療法、生活・食事指
導による保存療法を基本とし、結石のサイズや位置によっては最も非侵襲的な体外衝撃波砕石術をご希望に沿って、いつでもできるよう努力しており、破砕不良
な場合も一連の治療として内視鏡下レーザー砕石術でバックアップしていきます。結石の原因究明とその治療にも力を入れています。
当院で行っている治療方法
ホルミウム・レーザー砕石術 内視鏡下に強力なレーザーで結石破砕
当院ではホルミウム・レーザー砕石装置であるボストン社製Versa
Pulseを導入しています。体外衝撃波砕石術で破砕困難な、大きな腎尿管結石や尿管に陥頓した結石を内視鏡下に直接破砕できます。全身麻酔下で疼痛なく、通常4,5日入院で治療できます。
03. その他
腎・副腎腫瘍に対しては超音波スクリーニングによる早期発見を心掛けており、根治的手術と免疫療法、分子標的薬による最新治療にも力を入れています。手術は可能な限り、腹腔鏡下の低侵襲手術を目指しております。膀胱炎、尿道炎、前立腺炎などの尿路感染症に対しては、薬物治療だけでなく、理学療法や生活指導を行い、再発予防を心掛けていま
す。その他、包茎手術〔環状切開〕、陰嚢水腫の根治術、尿道狭窄や膀胱尿管逆流症に対する内視鏡手術なども行っています。