前眼部撮影システム
撮影した写真の事例を紹介
春日部中央総合病院 眼科医師の多田です。
当院では、2023年の1月から前眼部撮影システムを導入しました。
診察室の顕微鏡に、このように付属されたシステムです。
こちらを使って眼科医の私が見ている所見を動画・静止画にて撮影することで、
患者様ご自身にも目の状態を見てもらいながら所見について説明することが可能となりました。
患者様は今まで眼科医に診断される際、自分の目で所見を確かめることができないため、
眼科医に言われるがままに治療されていると感じた方もいらっしゃったのではないかと思います。
しかし、このシステムを用いることにより、患者様は自分の目の状態をはっきりと認識できるようになり、
治療意欲の向上につながりやすくなるのではないでしょうか。
ケース① 角膜上の傷
以下は、前眼部撮影システムで撮った写真の例です。
こちらの患者様は、眼が痛い、充血していると受診されました。お仕事は、とび職です。
診察した結果、このような物(赤い丸で示した箇所)が角膜上にありました。
こちらの写真は、鉄片異物が角膜に突き刺さっている所見です。
実は、日常でも起こりうる状態なのです。
例えば、電車が走行している時に線路の鉄粉が目に入ることはよくあります。
また、工事現場などでも起こります。
この場合の治療は、鉄片を取ることになります。
しっか取り除かないと、後々、角膜炎になり重篤な障害となってしまいます。
ケース② 白内障
次にお見せするのは、典型的な白内障の画像です
こちらの程度の白内障ならば、手術の難易度は低いほうです。
オレンジ色の矢印は、眼の水晶体と角膜の間の空間の広さを示しています。
ケース③ 浅前房
さて、この症例は先ほどのオレンジの矢印が小さいですね。
この状態は、浅前房(せんぜんぼう)といわれる状態です
こちらの何が問題かというと、先ほどの白内障手術の難易度が上がることです。
なぜならば、私たち眼科医は、矢印のスペースを使って手術をすることになるからです。
このような場合、合併症などが出やすくなります。
また、閉塞隅角緑内障という病気にもつながります。
詳細は割愛しますが、一度、眼科を受診して自分の前房を確認しておいた方が将来的なリスクを把握するためには良いかもしれません。
ケース④ 正常な視神経
また、上手く撮影すれば、前眼部だけでなく眼の奥も見ていただくことができます。
この写真は、正常な目の視神経の写真です。
私たち眼科医は、この写真のような眼の奥を見ております。
いかがでしたか?
前眼部撮影システムにより、患者様の疑問にお答えしながら治療を進めていきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。