医療公開講座レポート
【院外開催】市販かぜ薬の上手な選び方
概要
市販のかぜ薬は、一見同じように見えると思う方は多いのではないでしょうか。
たしかに、どの商品も熱、咳、鼻水など症状別の効能に分かれているのみで、商品ごとの違いはあまりないように思えます。
ただ、入っている成分に着目してみると、薬にはそれぞれ個性があります。
自分が発症した症状に対してどの市販薬を選べば良いのか?
その判断の助けになるような講座を行いました。
- 開催日:2022年9月7日
- 会場:春日部市中央公民館
- 春日部中央総合病院 薬剤師
講座内容 要約
かぜ薬の主薬となっているのはこの5つの症状
咳、喉、発熱・頭痛、鼻水、痰
多くの薬に入っている成分
熱、痛み
- ①アセトアミノフェン
- ②イブプロフェン
- ③エテンザミド
咳
- ①リン酸ジヒドロコデイン
- ②dl-塩酸メチルエフェドリン
- ③臭化水素酸デキストロメトルファン
喉
- ①トラネキサム酸
鼻水
- ①マレイン酸クロルフェニラミン
- ②セチリジン
痰
- ①カルボシステイン/アンブロキソール
- ②ブロムヘキシン
かぜ薬の成分の違いを見てみましょう
熱・痛みの薬
咳の薬
鼻水の薬
■原因物質ヒスタミンが作用するのでそれを抑える。
のど・痰の薬
■のどの痛み→トラネキサム酸
のどの炎症に作用。
■痰→カルボシステイン/アンブロキソール
粘度を正常に調整する。痰の排出運動促進。
■痰→ブロムヘキシン
痰の切れをよくする。分泌液を出して排出にも作用する。
かぜ薬の隠し味(薬の個性)
無水カフェイン【1日量:75mg】
覚醒効果。頭痛解消。脳内の血管収縮。
リボフラビン(ビタミンB2)
代謝を促す。不足すると再生機能が遅れる。
アスコルビン酸(ビタミンC)
免疫力を上げる。不足するとコラーゲンが作れない。
チアミン(ビタミンB1)
不足するとエネルギーが作れない。脳が正常に働かない。
漢方エキス
それぞれの相乗効果を狙うもの。西洋薬を邪魔しない。
【チェックリスト】すべてのかぜ薬で注意すること
薬に対するアレルギー症状
- ☑呼吸が苦しくなった
- ☑咳が出た
- ☑ぼつぼつ(できもの)が出た
痛み止めの場合
- ☑胃腸障害
- ☑ぜんそくが悪化した
上記以外の注意事項
- ☑尿が出にくくなることはないか/むくんでくることはないか?
- ☑アレルギーを持っているか?
- ☑併用薬はないか?
眠気について
ほとんどのかぜ薬は眠気に注意が必要です。
※眠くならない代表的な薬は、漢方薬など
講座まとめ―必ず守ってもらいたいこと
- ・一人一人、飲む状況(相互作用、アレルギーなど)が異なるので、併用薬がある人、アレルギーがある人、副作用が起きたことのある人などは必ず薬剤師に相談してください。
- ・用法・容量は必ず守ってください。
- ・上記を行ったうえで、飲んでいて症状が良くならないときは必ず医療機関受診してください。2週間の様子見が目安です。