IMSグループ医療法人財団 明理会 春日部中央総合病院 (厚生労働省臨床研修指定病院・日本医療機能評価機構認定病院)

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医療公開講座レポート

第103回「心臓病の予防学」

概要

概要

2021年、日本人の死因で2位となった心疾患。
厚生労働省の調査では、2021年は全死亡者に占める割合は 14.9%となったとのことです。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai21/dl/kekka.pdf
(上記p.10より引用)

今回は、心疾患のなかでも心筋梗塞・狭心症の予防について生活で注意できることを中心に解説しました。

  • 開催日:2022年9月30日
  • 会場:春日部市中央公民館
  • 登壇者:循環器科 海賀 翔太 医師

講座内容 要約

心臓病とは

心臓の元気がなくなること➡心不全状態になること

心不全とは

「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」

主な心不全の種類

  • ・心筋梗塞、狭心症
  • ・心筋症
  • ・弁膜症
  • ・高血圧
  • ・先天性心疾患
  • ・不整脈

心筋梗塞・狭心症や脳梗塞を発症・再発させないための2つの柱


➡ 日常生活でのリスク管理と検査で予防!

心筋梗塞や狭心症、脳梗塞を再発させないためのリスク管理

  • ① 高血圧
  • ② 糖尿病
  • ③ 高脂血症(悪玉・善玉コレステロール)
  • ④ 喫煙
  • ⑤ 家族歴

リスク管理 ①高血圧

高血圧コントロールをする

■若年者、高齢者
血圧は130/80mmHg未満

■高齢者(75歳以上)
血圧は140/90mmHg未満

食事療法 ※塩分6g以下を目標にする!

塩分の順に並べると…

■味噌ラーメン(どんぶり1杯)
・907kcal 塩分8.6g
・657kcal 塩分8.6g → スープを半分残した場合

■かけそば(どんぶり1杯)
食塩 6.0g

■にぎり寿司(並、8貫程度)
・362kcal 塩分8.6g

■味噌汁
・23kcal 塩分1.5g

リスク管理 ②糖尿病

血糖コントロールの目標

日本糖尿病学会によると…
HbA1c<7.0を目標とすること。
HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)は低いほうが良いが、低血糖にならないのが原則

食事のカロリーコントロール
一定の食事をまんべんなく食べることが重要

リスク管理 ③ 高脂血症

悪玉・善玉コレステロールについて

・善玉コレステロール → 動脈硬化を減らす
・悪玉善玉コレステロール→ 動脈硬化を増やす

食事療法(コレステロール300mg以下目標

■卵の場合
卵1個 50g→コレステロール量 210mg
卵1個分の卵黄 15g→コレステロール量 210mg
※卵のコレステロールは黄身にあります

■牛肉の場合
牛肉もも 脂身付き 100g→コレステロール量 67mg
牛肉もも 脂身なし 100g→コレステロール量 66mg
※牛肉のコレステロールは赤身にあります

■肉での比較(コレステロール量の多い順は…)
1位:鶏肉 皮付き 100g→コレステロール量 90mg

2位:鶏肉 皮なし 100g→コレステロール量 77mg
3位:牛・豚 もも 100g→コレステロール量 66mg
4位:鶏肉 ささみ 100g→コレステロール量 52mg

悪玉コレステロールを減らすには?

■魚油(EPA+DHA)を摂取する(1g /1日)
・本マグロ(トロ)→刺身2切れ(25 g)
・マグロ(赤身)→刺身60切れ(700 g)
・イワシ(丸干し)→1尾(25 g)
・秋刀魚→1/2尾(55g)
・サバ→2/3切れ(45 g)
・サケ→2/3切れ(90 g)

■オメガ3系脂肪摂取(→動脈硬化を安定させる)
・魚油
・えごま油
・亜麻仁油
・グリーンナッツオイル

■効果的な有酸素運動の実施
☑ウォーキング(目標1万歩 / 1日)
・腕はリズミカルに振る
・少し汗ばむ程度 20~30分続ける
・つま先で地面をける
・かかとから着地する
・歩幅は広くする

他には…
☑ラジオ体操
☑サイクリング など

■運動療法
☑つま先立ち運動
・一度に30~50回を1日2-3回行う

リスク管理④ 喫煙

■タバコの三悪
①ニコチン →血管収縮、血流悪化
②一酸化炭素 →動脈硬化
③タール →癌

リスク管理⑤ 家族歴(遺伝性の病気)

■遺伝しない→心筋梗塞
■遺伝する→高血圧、糖尿病、高コレステロール血症

心筋梗塞や狭心症、脳梗塞を再発させないための検査

■リスク、症状のある方は…
MDCT(冠動脈CT)を早めに受けることをおすすめします。

講座の要点まとめ

①心臓病の予防は生活習慣病を予防すること
②食事・運動・薬が大切
③早めに現状を知ること
④一度は検査を受けてみること

本講座の参考文献

  • ・日本循環器学会ガイドライン
  • ・国立循環器研究センター
  • ・大塚製薬
  • ・日本心臓財団
  • ・高血圧治療ガイドライン2019
  • ・日本動脈硬化学会
  • ・日本生活習慣病予防協会

参加者の声

  • ・海賀先生の説明がわかりやすく、聞きやすく、とても勉強になりました。ありがとうございました。(60代 女性)

概要