医療公開講座レポート
第104回「消化器疾患について」
概要
今回は、胃癌、大腸癌について解説しました。
内容は病気予防の方法など日常生活に関することではなく、消化器の構造や胃癌・大腸癌の定義、症状や治療法のお話でした。疾患について勉強したいという方に向いている内容です。
- 開催日:2022年10月20日
- 会場:春日部市中央公民館
- 登壇者:消化器科 齋藤 崇 医師
講座内容 要約
「消化器」の役割
①食物の摂取 ➡ 口腔。咽頭。食道
②食物を栄養素に分解=消化 ➡ 胃
③栄養素の吸収➡十二指腸・小腸
④消化しにくい物の排泄 ➡ 大腸
⑤吸収関連の付属物➡ 肝臓・胆嚢・膵臓
胃癌について
胃癌の症状
①進行胃癌
みぞおちの痛み・ふらつき・イカ墨のように黒い便・もたれ・ふらつき・体重減少など
(ただし症状が出ずに経過することあり)
②早期胃癌
ほとんど症状なし
(ただし潰瘍形成型の場合には、みぞおちの痛み・ふらつき・イカ墨のような黒い便などの症状が出ることあり)
胃癌の近年の動向
1. 胃癌の罹患率
2017年度:胃癌の年間の罹患数は約13万人。
↓
2019年度:胃癌の年間の罹患数は約12.4万人。
2. 悪性新生物中、胃癌による死亡は?
2017年度:悪性新生物中、胃癌による死亡は男性の第1位、女性の第3位。
胃癌での年間死亡数は約5万人。
↓
2019年度:悪性新生物中、胃癌による死亡は男性の第2位、女性の第4位。
胃癌での年間死亡数は約4.5万人。
胃壁の構造
外側から
①粘膜層
②粘膜下層
③固有筋層
④漿膜(しょうまく)下層
⑤漿膜(しょうまく)
の5層から成ります。
・早期胃癌
癌の浸潤が②粘膜下層以浅のもの
・進行胃癌
癌の浸潤が③固有筋層以深のもの
早期胃癌の内視鏡治療
・内視鏡的粘膜切除術(EMR)
・内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
➡ 詳しくは、消化器科のページ>早期胃癌のESDをご覧ください。
大腸癌につい
大腸癌の症状
①早期大腸癌
ほとんど症状なし。
(たまに血便がきっかけで診断されることあり)
②進行大腸癌
下血・便秘・食欲低下。腹痛・腹部膨満・ふらつき・体重減少 など
(ただし、症状が出ずに経過することあり)
大腸壁の構造
外側から
①粘膜層
②粘膜下層
③固有筋
④漿膜下層
⑤漿膜層
の5層から成ります。
➡ 大腸壁の構造の図はこちらをご覧ください。
※参考:大腸癌研究会「患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2014年版」1)大腸とは
早期大腸癌とは
癌の浸潤が②粘膜下層までにとどまっている癌のこと
➡ 大腸癌のステージ分類はこちらをご覧ください。
※参考:大腸癌研究会「患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2014年版」4)大腸癌の広がり方
参加者の声
- ・図で説明していただき、わかりやすかったです。(70代・女性)
- ・(短時間に感じたため)もう少し時間が欲しかった。(80代・男性)