IMSグループ医療法人財団 明理会 春日部中央総合病院 (厚生労働省臨床研修指定病院・日本医療機能評価機構認定病院)

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医療公開講座レポート

【院内】血圧って何?~血圧計について~

概要

概要

  • 開催日:2024年8月9日
  • 会場:春日部中央総合病院 食堂
  • 講師:春日部中央総合病院 臨床工学科 中山 広譜

講座内容 要約

血圧とは?

=心臓から送り出された血液が血管内を通るときに血管の壁を押す圧力のこと。

血圧を決める因子

心拍出量(一回拍出量×脈拍数)×末梢血管抵抗
※心拍出量 …心臓から押し出される血液量
※末梢血管抵抗 …血液の流れやすさ

血圧が高くなる条件

→ 血管の状態が血圧に影響を与える。
〇 柔らかい血管の場合: 血液がスムーズに流れ、血圧は比較的低い。
〇 動脈硬化などで血管が硬くなった場合: 血管の壁を押す圧力が高くなり、血圧が上昇する。

血管の変化

〇 加齢による影響 …加齢により血管の組織が変化し、硬くなることがある。
〇 病気の影響 …糖尿病や脂質異常症などの病気が血管にダメージを与え、硬化を引き起こすことがある。

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血管の狭窄が起こる!

ダメージを受けた血管の内壁にコレステロールなどが沈着し、血流を妨げるため血圧が上がる!

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沈着したコレステロールの塊が剥がれると…
脳や心臓への血流が阻害され、以下の深刻な病気を引き起こすリスクが高まる。

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脳梗塞

〇脳梗塞(のうこうそく)
〇心筋梗塞(しんきんこうそく)

心筋梗塞

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血圧を正常に保つことは病気を未然に防ぐことにつながる!!

血圧の正常値は?

血圧正常値

  • 〇 至適血圧: 収縮期血圧が120 mmHg未満、拡張期血圧が80 mmHg未満
  • 〇 正常血圧: 収縮期血圧が120-129 mmHg、拡張期血圧が80-84 mmHg
  • 〇 正常高値血圧: 収縮期血圧が130-139 mmHg、拡張期血圧が85-89 mmHg
  • I度高血圧: 収縮期血圧が140-159 mmHg、拡張期血圧が90-99 mmHg
  • II度高血圧: 収縮期血圧が160-179 mmHg、拡張期血圧が100-109 mmHg
  • III度高血圧: 収縮期血圧が180 mmHg以上、拡張期血圧が110 mmHg以上

高血圧の基準

〇 家庭血圧:  135/85 mmHg以上
〇 診察室血圧:  140/90 mmHg以上

血圧上昇(高血圧)の要因

〇 過剰な塩分摂取 …血管内に水分を保持しやすくするため、血圧が上昇
〇 肥満 …血管の収縮と過剰な塩分摂取による血液量の増加が原因
〇 ストレス …交感神経系の作用により心拍数が増加
〇 飲酒
〇 タバコ …血管を収縮させる
〇 運動不足 …血圧を調整する能力が低下
〇 遺伝 …体質が影響

高血圧の予防

塩分を控え、適度な運動を行うことで生活習慣の見直しを!
→ 具体的な予防法は以下の通り。

  • ① 減塩:塩分摂取を1日6g未満に抑える(小さじ約1杯)。
  • ② 栄養素:野菜や果物を積極的に摂取し、飽和脂肪酸やコレステロール(肉、乳製品、油脂類、お菓子、インスタント麺、卵黄)の摂取を控える。
  • ③ 減量:BMI25未満の適正体重を維持する。
  • ④ 運動:軽く息が弾む程度の有酸素運動を毎日30分、または週合計180分以上行う。
  • ⑤ 節酒:男性はエタノールで20〜30ml(日本酒1合相当)、女性は10〜20ml/日のアルコール摂取に抑える。
  • ⑥ 禁煙:受動喫煙を回避する。

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日本人は塩分の摂取が多い!

主な検査方法

  • 日本人の平均塩分摂取量: 成人男性:1日あたり平均10.9g
    成人女性:1日あたり平均9.3g
  • 塩分摂取が多い理由:醤油、味噌、その他の塩辛い調味料の使用が多いため
  • 塩分摂取を減らす対策:旬の食材の利用や、酸味や香辛料の使用、加工食品・漬物・汁物の摂取を減らす

▶脈の測り方

  • 1.人差し指・中指・薬指の三本で血管を抑える。
  • 2.  最初は強く抑え、徐々に力を抜いていくと、脈拍を感じることができる。

血圧計とは?

血圧計の仕組み(オシロメトリック法):

→ 腕に巻くカフを使用し、加圧。圧力を下げる際に、脈拍圧(収縮期と拡張期の圧力差)が急激に増加するポイントを検出し、これを収縮期血圧として認識する。脈拍圧が急激に減少するポイントを拡張期血圧として認識する。

血圧測定のタイミング

家庭血圧測定の条件(日本高血圧学会より)

〇 朝の測定条件:

  • ・起床後1時間以内
  • ・朝食前
  • ・服薬前
  • ・排尿後
  • ・座った状態で1~2分安静にした後

〇 夜の測定条件:

  • ・就寝直前
  • ・座った状態で1~2分安静にした後
  • 〇 測定は右腕で行う: 心臓に近い動脈が右腕にあるため
    (左腕では血圧が低めに出ることがあり、高血圧が見逃される恐れがある)
  • 〇 1回の機会に2回測定: 理想は2回以上の測定の平均値を使用すること
  • 〇 週に5日以上測定: 定期的な測定が推奨される
  • 〇 長期間の観察: 1か月、1年と一定期間の血圧の変動を観察することが重要

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高血圧は「サイレントキラー」
自覚症状がなく進行するため、正しく定期的に測定を!!

参加者の声

参加者の声

  • ・今までの血圧の測り方とちがって正しい測り方がわかりました
  • ・スライドの字が大きく見易かったです。
  • ・説明が解り易くて良かった。
  • ・質問した事に対しても、ていねいに回答してくれて良かった。