Urology
前立腺とは男性の尿道を取り囲む栗の実の形と大きさをした臓器で、尿道の周囲に存在する内腺とその外を取り巻く外腺に分けられ、果物の実と皮の関係に似ています。
前立腺肥大症は前立腺全体が大きくなっているというイメージを持つと思われますが実際は違い、内腺(果物の実の部分)が腫れてくる病気です。 内腺が腫れてくると、中心を通る尿道はペチャンコに押し潰され、尿が出にくいなど様々な症状がでます。
前立腺肥大症の手術には色々な方法がありますが、肥大した内腺を切除し、尿道を広げることにより尿の通りを良くし前立腺肥大症にともなう様々な症状を改善することを目的としています。
前立腺肥大症のレーザー治療
前述した内腺と外腺の間の無理なく剥がれる面に沿って、ホルミウムレーザーで切開・止血しながら内腺全体をくり抜きます(核出する)。 核出され遊離した前立腺組織(内腺)は、バーサカットシステムを用いて細かく裁断して吸引除去します。 つまり、経尿道的手術によって開腹手術と同じ内容の手術を低侵襲で行うことがでる画期的な手術方法です。 また、手術後の排尿状態はTUR-Pと比較し同等以上です。
ホルミウムレーザーは、組織の深部に熱の影響を与えずに、表面で切開と止血が同時にできるのが最大の特徴であり、
熱の深達度が浅いため蒸散術には不向きですが、核出術を得意とします。
現在行われている前立腺肥大症手術で最も低侵襲な手術の1つです。
2022年より保険適用となりましたが2023年9月の時点で本邦でも1000人以上の患者さんがこの治療を受けています。
海外では2013年〜ヨーロッパで、2015年〜アメリカで認可され長期的な有効性、安全性が確認されています。
※当院では、主に抗血栓薬内服中の方や耐術能にリスクがある方を対象にWAVE治療を行っています。詳しくは外来担当医までお尋ねください。
現在、最も多く行われている標準的な手術方法です。 尿道から内視鏡を挿入し、ループ状電気メスで少しずつ切除し、削った前立腺を内視鏡から洗い出します。 体表にはメスを入れませんので開腹手術と比べると低侵襲ですが、肥大した内腺を限りなくきれいに切除するには術者の技術が必要であり、さらにきれいに切除しても再発の可能性があります。 副作用としては、出血量が多くなることがある、手術中に視野を確保するために使用する灌流液が体内に吸収されて血液中のナトリウム濃度が下がり、血圧低下、吐き気、意識障害などの水中毒を引き起こすことがあります。 また、大きな前立腺肥大症では副作用の危険が高くなるためTUR-Pを行うのが難しくなります。
レーザーが導入されていない施設では巨大な前立腺肥大症に対しては現在でも開腹手術が行われています。 下腹部を切開して前立腺を露出し、外腺(果物の皮)を切開して肥大した内腺(果物の実)を一塊にして摘出します。 肥大した内腺と外腺の間には無理なく剥がれる面があり、開腹手術ではどんなに大きな前立腺肥大症でも完全に摘出することができ、再発の可能性がなくなります。 しかし、開腹手術であり患者様の体に与える侵襲は一番大きくなってしまいます。