甲状腺の「働き」の変化(機能性疾患)について

甲状腺の「機能性疾患」は、「甲状腺ホルモン」の分泌が不足したり過剰になったりすることで起こります。
ここでは、主な「機能性疾患」として、「甲状腺機能亢進症」と「甲状腺機能低下症」について、ご紹介いたします。

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症としては、下記のような症状・特徴があります。

患者さんの性別の割合1ː4
(男性ː女性)
女性に多くみられる
主な症状・甲状腺の腫れ
・多汗(汗をよくかく)
・動悸
・食欲増進
・体重減少
・落着きがなくなる
・手が震える など
特徴・原因の多くがバセドウ病であるとされている。
・30代に発症のピークがあるとされている。

甲状腺機能亢進症の代表的なものに、「バセドウ病」があげられます。

バセドウ病

原因 自己免疫の異常により、甲状腺が誤って働き、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、新陳代謝が異常に亢進してしまうため眼球突出が特徴的所見で約半数の症例に認められる
治療法
1.「抗甲状腺薬」の服用
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるのを低減させる薬を飲むことで、甲状腺の働きを抑える治療法。
※症状が治まれば、最終的には服薬のいらない「寛解」状態に持っていける場合がある。
2.早期寛解を望む場合や「抗甲状腺薬」で副作用が出現する場合
手術を検討。甲状腺を全切除して甲状腺ホルモンの分泌を止め、適正な量の甲状腺ホルモンを薬で補う治療法。
3.放射線ヨウ素療法
甲状腺がヨウ素を取り込む性質を利用し、「放射性ヨード131I」を服用し、甲状腺をβ線で少しずつ壊し、機能を適度に低下させる治療法。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症としては、下記のような症状・特徴があります。

患者さんの性別の割合 圧倒的に女性が多い
※男性の20倍
主な症状 ・甲状腺の腫れ
・寒気
・皮膚乾燥
・無気力
・眠気
・食欲不振
・体重増加
・脈拍が少なくなる
(徐脈ːじょみゃく) ・脱毛
・貧血 など
特徴 ・甲状腺に発生する最も多い病気。
・ほとんどの原因が橋本病とされている。
・発症年齢は幅広い
(若年から40代以降)
・甲状腺ホルモンを補う治療を行われる。

甲状腺機低下症の代表的なものに、「橋本病」があげられます。

橋本病

原因 自己免疫の異常により甲状腺の組織が敵とみなされ、攻撃・破壊されるため、病勢が進むと甲状腺ホルモンの分泌が減り、不足するようになる。 そのため、新陳代謝が悪くなってしまう。
治療法 ホルモン補充療法
不足した甲状腺ホルモンを、服薬で補う治療法。
甲状腺が破壊された分、甲状腺ホルモンが分泌されていないため、その不足分を服薬で補う。
甲状腺ホルモンは、もともと体内で作られているホルモンのため、副作用の心配は少なく、比較的早く、効果が表れる。
以上、気になる症状があったら、ご相談ください
甲状腺の病気について 甲状腺の「形」の変化について