胸部、腹部や骨格系のX線撮影を総して一般撮影(レントゲン)と言っています。健康診断のレントゲンなど、みなさまにもなじみの深い検査だと思います。
胸部は主に肺の様子や心臓の大きさを、腹部はおなかのガスの状態や、結石の有無などが撮影の目的になります。骨格系は整形外科領域の骨や関節の撮影が中心となりますが、頭、鼻、耳などの撮影も行われます。
当院はデジタルX線画像システムを採用しています。デジタル画像は画像データを処理することができるため、撮影部位ごとに最適な画像を提供することができます。また、撮影時の被ばく線量を低減することができます。
X線撮影に対して、みなさまは放射線被ばくのことが気にかかると思われますが、一般撮影では大変少ない線量を用いて行っていますので、撮影による身体への影響はありません。
CTは【Computed Tomography】の略で、コンピュータ断層撮影のことをいいます。当院では、マルチスライスCTにより、短時間で高精細な画像を提供することが可能となりました。身体にX線を複数の方向から照射し、透過したX線を検出器で受け取りコンピュータ処理で体の断層画像(輪切りの状態)を得る検査です。最近のCT装置はより高性能になり、1回転でたくさんの画像を撮ることができることから、短い息止め時間で検査を行うことができます。
0.5mmという細かなスライス厚で画像を収集しますので、数ミリ単位の小さな病変も発見することができます。さらには、従来の「輪切り」といった概念はほとんど消失し、さまざまな断面を容易に得ることができます。
また造影剤を使うことで、頭部や腹部の血管の描出や腫瘍の評価はもちろんのこと、従来のCT装置では撮影することが難しかった心臓の血管や、下肢全体の血管の検査についても撮影を行うことが可能となっています。
当院では画像処理ワークステーションを導入しており、血管や骨、臓器の3D(立体)画像の提供もしています。視覚的にとらえやすい3D画像は診断する医師や、検査結果をお聞きになる患者さまの説明にも役立っています。
過去のCTに比べて高いパフォーマンスを持つ64列マルチスライスCTですので、検査を受ける方にとって負担が少なく、より安心して検査を受けていただくことができます。
一方で、CT検査において放射線被ばくは避けて通ることはできませんが、低被ばくで高画質が得られるシステムを採用しています。
5分~20分程度
撮影部位によっては金属などが撮影の妨げになる場合がありますので、金属の付いた服や下着、貴金属などは外していただくことがあります。検査着の準備もありますが、できるだけ検査しやすい服装でお越しください。
MRIは【Magnetic Resonance
Imaging】の略で、磁気共鳴画像のことをいいます。現在では多くの臨床現場で稼動し、無くてはならない検査になっているMRI。2003年にはMRIの医学におけるその重要性と応用性が認められ、〔核磁気共鳴画像法に関する発見〕に対して
ノーベル生理学・医学賞が与えられました。
MRIのMはマグネット(磁石)なので、大きな筒状の磁石の中に入って検査すると思ってください。MRIは水素原子のNMR(核磁気共鳴)現象を利用して、細胞内の水素原子(水分)の状態を画像にしています。人体は90%が水分なので、水素原子から体内の様子を画像にすることができます。
装置の形状はCTと似ていますが、CTとはまったく異なった画像が出てきます。体に対して断層像を(輪切りの状態に)撮像するのですが、同じ場所を様々な条件で画像にでき病変の性質まで診断することが可能です。
X線を使わないので、放射線による被ばくは一切ありません。X線撮影では骨による影響で画像にノイズが出てしまったりしますが、MRIは骨による影響が少なく、骨に囲まれている頭部の細かな部位も撮像できます。全身どこでも検査可能ですが、特に脳・耳・鼻、脊髄、子宮・卵巣、前立腺、四肢(腱・筋)、皮膚などの軟部組織の診断に有用とされています。
検査に伴う痛みなどはなく、ベッドに寝て撮影を行います。多少、撮影の際の音が大きいですが耳栓代わりにヘッドホンをしていただいています。
CTでは造影剤を用いないと描出しにくい血管も、MRIは造影剤を使用せずに立体的に描出することができ、脳動脈瘤などを調べる脳検診においては欠かせません。必要に応じて造影剤も使用しますが、病変の性質を調べたり、大血管、下肢の血管などより多くの情報を得ることができます。副作用は極めて少ない薬ですのでご安心ください。また急性期の脳梗塞ではCTより早期に病変を抽出することができ、絶大な威力を発揮しています。
20分~60分程度
基本的に手荷物などを持って入ることはできません。MRI検査時には、先に前室にご案内します。前室には鍵付のロッカーがあり、放射線科スタッフと再度、安全確認してから検査室へ入室となります。
カラーコンタクトレンズやお化粧など(マスカラ、アイシャドウ、アイライン)も金属成分が含まれている場合があります。熱をもったり画像を乱してしまう場合は、外していただくことがあります。
スムーズな検査を行うために、時計やアクセサリーなど事前に外せるものは外してご準備ください。検査着の準備もありますが、できるだけ検査しやすい服装でお越しください。
マンモグラフィとは乳房のX線撮影のことです。乳房はやわらかい組織でできているため専用のX線撮影装置で撮影します。しこりとして触れることができない早期がん(乳がんなど※)のサインである細かな石灰化を鮮明に写し出せるのが大きな特徴です。立体的な乳房全体が撮影フィルムの中にもれなく写し出されるように、一方の乳房につき2方向の撮影を行います。
乳房は立体的な厚みがあるので、そのまま撮影すると乳腺や脂肪、血管などの重なりで、実際に腫瘍があっても写し出されないことがあります。効果的な圧迫と正しい撮影をするために放射線技師が乳房に直接触れてアクリル板でやや強めに押さえ平たく伸ばします。乳房の病変を見落とすことのないように考案された撮影法で、広く先進諸国で取り入れられており、安全性が確立しています。
撮影の範囲は乳房からわきの下を含めた範囲です。以前に受けた手術や傷跡、いぼ、ほくろや気になる症状がありましたら、お伝えください。より良い撮影と診断に役立ちます。X線検査なので放射線被爆がありますが、乳房だけの部分的で放射線の量も少ないのでご安心ください。
乳房を圧迫するため、乳房がはっている時期は避けたほうがいいでしょう。生理から1週間後、乳房のはりや痛みがなくなりやわらかい状態の時がおすすめです。
当院のマンモグラフィ装置では、鮮明な画像と日本製の撮影装置ならではの日本人の体型にあった負担(痛み)の少ない検査を可能としています。痛みは個人差があるためどうしても我慢が出来ない場合は、担当技師にお伝えください。
15分程度
乳房にある乳腺に発生する悪性腫瘍です。細胞が癌化して増えはじめるとしこりになりますが、初期には食欲が減ったり体調が悪くなるなどの全身症状がほとんどありません。そのまま放置しておくと、乳腺の外にまでがん細胞が増殖し、全身へと広がってしまいます。乳がんは日本女性の壮年層(30歳~64歳)のがん死亡原因のトップとなっています。残念ながら乳がんの予防方法はありませんが、早期なら90%の方が治ります。決して怖い病気ではありません。早期発見のために、自己検診やマンモグラフィなどによる定期検診が大切といわれています。
骨密度とは、単位体積あたりの骨量のことをいい、BMD(Bone Mineral
Density)といいます。カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが、骨にどれくらい含まれているかの指標となり、骨密度が減少すると骨が弱くなり骨折しやすくなります。
骨密度の少ない状態を骨粗鬆症といい、骨粗鬆症は男性よりも女性に圧倒的に多いのです。その理由として、骨の主成分であるカルシウム量がもともと女性の方が少なく、カルシウムの摂取量も少ないからといわれています。しかも、女性の場合は更年期(閉経)をむかえると、エストロゲンなど骨を維持する女性ホルモンの低下によって、男性よりも急速に減少してしまう方が多いようです。骨粗鬆症の患者さまは国内で推定1,000万人。しかし実際に治療を受けているのは200万人に過ぎないといわれています。骨の健康維持に関して私たちが無関心になりがちなのは、骨が目には見えなく骨量が減少し始めても自覚症状がないということが原因のようです。
現在、種々の骨量測定法が利用されていますが、当院ではDXA(Dual energy X-ray
Absorptiometry)という2種類の異なるエネルギーのX線を照射し骨と軟部組織の吸収率の差により骨密度を測定しています。
この方法は測定精度が高く、測定時間も30秒程と短いので放射線量も少なくすみ、骨密度測定のスタンダードとされています。測定は前腕(肘から手首)で行いますので更衣などの必要もありません。
消化管および血管造影検査等、多目的検査が行えます。X線TV装置はレントゲン写真を動画で見ることができ、透視しながら目的部位の撮影が可能です。通常のX線TV装置を革新的に進歩させ、デジタル撮影を可能にしたことで、これまでより大幅に少ないX線量で、胃・腸・血管などを的確に写し出します。
放射線科では主にバリウムを使った胃、食道、大腸の造影検査や骨折時の整復、カテーテルやチューブの留置などの処置等で活躍しています。
また、この装置では患者さまが動かずに寝台に寝たままで、あらゆる方向からの撮影ができます。そのため寝たきりの方なども安全に処置を受けることができます。
ホルミウムレーザは、組織への熱侵襲を最低限に抑えられるといった特性があります。
この低侵襲のレーザー光を用いて、尿路結石症治療(f-TUL)を行うことができます。
血管造影検査とはカテーテル(細い管)を鼠径部や肘、手首の動脈から挿入し、造影剤を用いて頭部や心臓の血管の状態や血液の流れを調べるための検査です。また、病変に対して行う血管内治療(IVR:Interventional
Radiology)も行っています。
当院では、主に循環器領域で冠動脈造影(CAG)、冠動脈形成術(PCI)、脳神経外科領域では脳動脈瘤に対するコイル塞栓術、頸動脈狭窄に対する頸動脈ステント治療(CAS)、血管外科領域では血管狭窄部に対する血管形成術(PTA)や下肢血管造影検査なども行っています。
上記の「血管造影室」と同じように、カテーテルと造影剤を用いて、血管内の様子を検査します。 「血管造影室」はプレーン(アーム)が1つですが、「バイプレーン型血管造影撮影室」ではプレーンが2つあることから、「バイプレーン」と呼ばれています。 2つのプレーンで同時に2方向から撮影することが可能です。 当院では、主に脳神経外科領域での脳動脈瘤に対するコイル塞栓術、経皮的血栓回収術などを行っています。
当院では、主に脳神経外科の手術に使用しております。脳神経外科の手術は顕微鏡を用いて直視下で行うことが多く、限定された範囲内で手術しており、非常に繊細な技術が求められます。正確に脳の中を手術していくための方法としてナビゲーションシステムというものがあります。
脳腫瘍などの手術の際には、病変の局在や周囲の正常組織との関係を3次元的に把握することが重要です。従来であれば術前にCTやMRIの画像を見ながら医師が自分で立体像のイメージを作り、自身の経験等により、頭蓋のどこに穴を開ければよいか決めていました。そのため、少しでも切除する部分を間違えたりして神経や血管を損傷してしまうと、重篤な合併症を招く恐れがありました。
ナビゲーションシステムを用いると病変部とその周囲を立体的に描出してくれるため、手術の際にどこを切開し、どの方向に進めば安全に病変部まで到達できるのか、ということが視覚的に分かります。
また、病変の広がり、重要な神経や血管の位置、手術している部位をリアルタイムに正確に表示してくれるので、神経や血管を傷つけることなく、病変部を残さず切除するのにも役立ち、安全に手術を行うことができます。