睡眠時無呼吸症候群
(SAS)外来
当外来について
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に呼吸が停止状態となり、それが原因で日常の生活に様々な障害を引き起こす病気です。
残念ながらSASは、根治させる方法が今のところありません。しかし、適切に治療すればうまく付き合っていくことができます。
重症なSASの症状に悩んでいた方でも、治療によって症状が緩和され日常生活の質(QOL)が改善したり、内服薬の減量に成功するケースもあります。
日中の眠気、原因不明の頭痛、疲れを訴えられる方が多く、ご家族からいびきや呼吸停止を指摘されて受診される方も多くいます。これらの症状にお気づきでしたら、ぜひご受診ください。
主な対象疾患と治療方法
疾患・症状
睡眠時無呼吸症候群
主に上気道(鼻〜のど)の狭窄や閉塞によって睡眠中に呼吸の停止を繰り返すものです。呼吸が停止することで睡眠が分断され、身体が一時的に低酸素血症に陥り、自律神経の不安定性を招きます。その結果、日中の過度な眠気や頭痛、高血圧などが引き起こされます。
検査方法
簡易キットによる検査(簡易検査)
自宅で患者さま自身に簡単な機器を身に付けていただき、睡眠中のデータをもとに無呼吸があるかどうか調べます。比較的簡単にできますが、検査の内容が限られ、精度の面でも入院検査に比べて劣ります。
入院による精密検査(終夜睡眠ポリグラフィー:PSG)
病院に一泊入院して行います。脳波を含む細かいデータが得られるため、閉塞性無呼吸か中枢性無呼吸か鑑別することもでき、より正確な結果となります。個室代などの入院費用がかかります。
治療方法
自覚症状や前記の検査の結果を総合的に考えSASと診断がついた場合、治療方法について検討します。
無呼吸低呼吸指数(睡眠1時間あたりの異常な呼吸の平均回数)をAHIと呼び、AHIが5〜15を軽症、15〜30を中等症、30以上を重症と定義しています。
全てのSAS患者さまに言えることは、生活習慣の見直しやダイエットが必要な方はまず、それらが第一優先ということです。それに加えて、中等症以上の方は医師の指示のもと、マウスピースや持続陽圧呼吸器(CPAP)療法を開始します。CPAPは鼻(または口と鼻)を覆うマスク型の医療機器であり、呼吸が止まった時に機械がそれを感知して上気道に空気の圧力をかけ、呼吸をサポートするものです。毎晩、就寝前に装着します。さらに、扁桃腺肥大や慢性鼻炎など耳鼻科の疾患がある場合には並行して治療します。
トピックス
SASの主な原因
10秒以上の呼吸停止を「無呼吸」、10秒以上の浅い呼吸を「低呼吸」と定義していて、これらの異常な呼吸が7時間に30回以上、あるいは1時間に5回以上ある場合、SASが疑われます。
SASには大きく2種類あります。上気道(空気の通り道)が寝ている間に圧迫され狭くなることが原因の「閉塞性睡眠時無呼吸」と、脳の呼吸中枢の障害が原因である「中枢性睡眠時無呼吸」です。
患者さまの多くが閉塞性睡眠時無呼吸ですが、この2種類が混在している方もいます。上気道が狭くなる原因としては、肥満や小顎症(下あごが小さい方)、扁桃腺の肥大などが挙げられます。
SASの予防法
肥満の方は、まず減量です。また、無呼吸を悪化させる要因として就寝前の飲酒や睡眠剤の使用、仰向け寝などがあるため、それらを避ける工夫が必要です。
しかし、SASの患者さまの半数は肥満ではなく、骨格や歯並びなど別の問題が関係していることがあり、ダイエットや生活習慣の見直しだけでは改善できない方もいます。